ZANONIA 2023 (ガルモデル仕様替えオリジナル機) Part-2
  
● 3mmの両面シナベニヤにトレースしています。内部側板材は対なので二枚分切り出します。単体胴枠は一枚ずつ・・・二枚貼り合わせの部材は偶数個の切り出しです。画像左側は後部胴体の胴枠です。上下二つに分かれていますが、下は3mmベニヤ・・・上は3mmバルサで作ります。軽量化という位置付けよりも工作し易さの方が大きいでしょうね。加藤無線(MK)の40クラススタント機の上部胴枠もバルサで構成されていました。此方も軽量化と言うよりも・・・アール面のバルサプランク材にマチ針使用で固定し易かったからです。本機のトレース作業・・・もう暫く続きそうですね。平日は終日バイトなもんで・・・一時間程しか工作時間が採れません。10時には寝ないと・・・早朝三時には起きれませんしね。
  
● さあ!本日は日曜日・・・。一日中糸鋸盤との格闘です。本来の洋ナシ型の糸鋸の定盤では、この内壁側板のサイズは、切り出しには聊か不便でしたが、定盤を洋ナシ形に合わせて切り抜いて延長したので全長600mmの部材が安定しています。この内壁側板の部材・・・重心よりも後部は拭き孔だらけです。まあ、軽量化する必要も有るんですが、強度も残さなければなりません。古巣のクイックビルト飛行機シリーズ・・・モデラー時代に作り倒しましたもんねえ・・・。そういった過去の歴史を採用しているだけの何でもない作業ですよ。
  
● こういった胴枠サイズならば普通に切り抜けてくれるんですが、全長600mmの側板部材ともなると横方向の切り抜きには何の問題も無いんですけど・・・、縦方向になると、画像の様な加工不可能状態も出てくる訳ですよ。この糸鋸盤・・・アームの奥行きが450mmまでなので、切り抜く孔位置が500mm以上の位置に成ると刃先が真っ直ぐ入らないので加工不可能なんですなあ・・・。こういう場合は、作業員側が立ち姿勢で対処します。アームの奥行きが900mm対応型の大型糸鋸盤なら何の問題も起きませんけどね。古巣の開発室に鎮座してましたけど。ただし、当工房みたいに椅子に座って出来る作業でも無いですよ。奥行きが900mmともなると、終始立ち姿勢での作業になります。サイズも桁外れ・・・重機らしく重さも数百キロありましたので、個人の工作部屋に置けるサイズでも無いかなあ(笑)・・・。
 
● ホント!・・・切り抜くのに丸一日掛かるんですよねえ・・・。さて・・・本機のこの前部胴体の構造・・・賛否両論過去には散々馬鹿にされましたけど・・・。まあ、馬鹿にしてたのは平成生まれのラジコンブーム便乗組のモデラーさんに多かったかなあ・・・。昭和の黎明期を知らない世代ですしねえ・・・。彼らの第一難関は、胴体の中心軸が必ず左右どちらかにズレて組み上がってしまう事・・・。こうすりゃいいんですなあ・・・の構造なんですよ。理解しようがしまいが・・・実機では当り前の構造なんで、興味の在るモデラーのみ光明が射すかもしれませんなあ・・・。
  
● 本機のこの内壁側板構造・・・。一番重要なのはこの位置のはめ具合・・・。よって胴枠側を細かく調整する必要があるんですが、この側板部材・・・二枚釘で留めて加工しているので、全体寸法から全ての溝やら孔位置まで全て同じ位置です。よって二枚固定したまま他の部材の調整が可能なんですなあ・・・。充分調整した後に接着剤を使って組立てる事ができるので、暫くは面倒臭い細かい調整の時間が続くでしょうなあ・・・。組立ては来週末位かなあ・・・。
  
● この胴枠は二枚分貼り合わせです。上下の形状・寸法は同じですが、側面の形状と幅寸法が違います。側面の形状で上に成っている胴枠が1mm程狭くなっています。実は此れが本機構造のミソとなります。胴枠ナンバー(F6)と(F6A)が構造体の境目と言っておきましょう。本機胴枠で一番重要なのは内部の段付け部分・・・此処に内部側板が嵌り込む形なんですが、内部側板の内側寸法でピッタリ54mmに成る様に何度も調整の擦り合わせが必要です。
  
● 取り敢えず・・・接着剤を塗らない仮組状態で構成しました。全ての部品をはめ込むと・・・毎度の事ながら丈夫です。胴体の中心軸を正確に作る為の構造ですけど、此れがレーザー加工品ならまあ・・・組むだけならベテランも初心者も関係無くなるかもしれませんなあ・・・。私と同年代のモデラーさんならば、若かりし時代のOK模型のQB(クイックビルト)のバルサキットを思い浮かべた筈・・・。その時代は当工房の主も、まだ一般の初心者モデラーの一部でした。航空自衛隊板金職時代のバンドソー・コンタリングマシーンと加藤無線(MK)時代のバルサ部品切り出し糸鋸盤を極めたら、こんな加工は朝飯前ですなあ・・・。
  
● 此方はサーボベットのブラケットなんですが、内部側板材を胴枠に圧着させる為の突っ張り棒の役目も持っています。本機の構造上・・・内部からはめ込む事が不可能なので、こういった取り付け方法となっています。側板にブラケットを通せる角孔を開けて挿入し、側板の厚みをこの溝にはめ込んでロック!・・・。胴枠内側に側板が圧着されるという案配。この部品はサーボベットの位置決定の意味合いもあるので、こういうゴツイ部品ですが、単なる圧着なら半分の薄さでも好いとは思いますね。
  
● 此れはサーボベットの固定ビスの台座です。取り付け手順は側板外側からの接着です。ラジコン黎明期からの定説なんですけど、サーボベットをしっかり作って組み込むと、ひ弱な構造が一瞬で頑丈な構造体に大変身します。本機の場合は・・・まあ、単純にバラスト軽減の構造強化って所ですなあ・・・。隙間最小限のベットなら、構造体の強化には大いに貢献できますし・・・。
  
● 此方はカンザシ受け胴体内蔵パイプの取付状況です。前方メインの内径8mmのアルミパイプ、後方内径4mmのカーボンパイプを差し込んでいます。パイプの上下前後の部材はパイプ固定に必要な補助部品です。取り付け方はサーボベットのブラケットと同じ手順です。現在のパイプの取り付け状態ってのは・・・胴体の中心軸に直角・・・二本パイプ同士の上下方向左右のズレも無し・・・更に上方から見ても平行であるという事実・・・。さて、ガルモデルオリジナルのザノニアのキット構造と本機の構造、カンザシ受けパイプの固定だけならどちらが確実でしょうか・・・。

● このパイプ配置の確実性を追求したら、この構造体に行き着いた訳ですよ。パイプを固定しているのは内部側板なんですが、この側板材は左右二枚分を釘で留めて糸鋸盤で切り出すので、まあ当然の結果として側板左右が同じ形状で仕上がります。軽減抜き孔も胴枠取り付け溝もパイプ挿入の抜き孔も左右対称になります。此れを平行・直角・垂直の構造体の法則で組立てると・・・これまた当然なんですが、カンザシ受けのパイプはこんなに正確に更に簡単に位置決定してしまうんですなあ・・・。構造を理解出来ない平成ラジコンブームの便乗組モデラーのネット物知り博士諸氏には、無駄な二重構造って馬鹿にされましたが・・・満更、便乗組さんにも理解してもらえる構造でしょう?・・・。
 
● 自設計・メーカーのグライダーキット・・・胴体の組立て方が変わる部材です。多分・・・何処の大手メーカーさんの組み立て説明書にも記載して無いでしょうなあ・・・。昭和から平成・令和と続く大手メーカーのオリジナルバルサキットのグライダーには、ある共通の法則があるんですよ。此れは誰にでも理解できる事実です。バルサキットの原寸図面をお持ちのモデラーさんなら、各種定規をあて法則を見つけ出して下さいナ。そう!・・・昭和の終わりの時代に加藤無線(MK)が世の中に登場させたバルサの完成品モーターグライダー(レディ15)の組立て方・・・その手順を本機にも使っています。
  
● 後部胴体の内部構造体です。画像に見える二枚の胴枠のみ3mmベニヤで、残りは全てソフト系メディアムの3mmバルサで構成されています。内部構造体にしては大袈裟にも見えてますが、此れが本機の特徴でもあるんです。サイズ的には全長250mm近いんですが、重さは僅か6グラム・・・。ガルモデルのザノニアのキット構造とは大きく違ってますね。ザノニアの仕様替え・・・時代に沿って何機も複製してると、結果的にこういう路線の違う構造体に変化します。
 
● 両面テープを使って最後部の小口面に貼り込み、此処に別の3mmバルサを一時的に貼り込みました。さて・・・通常とは違う組み立て手順の最初の一手です。両側面から部材がはみ出てますが、この出っ張りが一番重要なんです。この出っ張り無くして、本機の胴体組み立ては成り立ちません。大手メーカーさんのバルサキットによっては使える手順化も知れませんなあ・・・。まあ、試しにHLGで使ってみるのも良いかも・・・。
  
● まだ仮組の状態なんですが、まあ・・・こういう手順の組立てです。あれ?・・・側板ってこんなに短かったっけか?・・・。ご指摘も有ろうことは充分承知の工作手順・・・。しかし・・・国産グライダーキット、特にメーカーオリジナルのソアラーキットに共通していた胴体の形状を其のまま活かすと、画像の工作手順が胴体組み立ての手順としては一番正確に組めるのがご理解頂けるかと・・・。バルサキットでは当り前の常識ですけど・・・二枚の側板材は同じ寸法・同じ形状です。よって其れを活かせば良い訳ですよ。複雑に考えなくても・・・。
 
● 本機で使ってる幾何学の法則・・・。画像の二等辺三角形・・・。その先端を底辺と平行にカットすると細長い台形と成ります。此れが上記の側板材です。後部胴体の中心軸は左右の鋭角三角形の中心にあるので、左右の三角形は対象ですし、外側の線は左右の長さが同じ寸法となります。更に完全無欠の直線です。さて、国産グライダーキットの特徴とは、胴体後部の側面は粗直線だった事実・・・知らない人の方が多いかな?。知ってても重要視して無かったでしょ!・・・せっかく正確に作れる手順が其処に有ったのに・・・。

● 右画像は二重構造の前部胴体です。側板部材を正確に左右対称で組立てるには、左右の側板部材が均等にアールを形成すれば良い訳ですよ。要するに内部構造に在る側板部材で完全なる直方体の箱が組めれば、必然的に外部側板は同じアールを形成出来るので・・・無駄な二重構造って言われた構造体にもちゃんとした意味が有ったんですなあ。まあ・・・ブームの最中ってのは、特にネット環境が暴走気味の状態ならば、目に惹く珍しく誰も知らない構造が重宝されることはありません・・・。少々胴体が曲がっていようが、主翼が捻じれていようが、目を引くアニメ戦闘機を全くの空力無視で作って品評し合うのが重要視されていましたなあ・・・。画像を上手く編集して飛ばなくても「大変良く飛びました!。」は、日常茶飯事・・・。でもどんなに複製しても飛ばないんだもの・・・。託されたベテランさん・・・困ってましたなあ。「あんた!本当にベテランか?。此れ飛ばせんの?・・・。」って無茶言うたらあきまへんがな!。元々飛ばない飛行機の画像編集なんだから・・・。まあ、こういう事例が沢山起こってたのが平成のラジコンブームだったんですなあ(笑)・・・。
  
● 上記の図形の法則を画像の構造体に活かせば、ほぼ正確な軸の通った胴体は作れるんですなあ・・・。後部胴体の内部構造体は鋭角二等辺三角形の法則を活かしています。更に言うなら・・・この構造体の側面は直線です。もう一つオマケの状況をバラすならば、本機ザノニアの側面は、メインカンザシ直後の一番大きな胴枠(F6)までは直線なんですなあ・・・。よってこの前部構造体の(F6)~(F8)までの胴枠に組み込む側板も直線配置・・・。よって、側板は前後分割構造が可能に成ったのです。更に、(F6)の胴枠は二枚貼り合わせです。後部の胴枠は側面が1mm大きくなっています。要するにこの二枚貼り合わせの胴枠で、側板の厚みが変わる事を意味しています。
  
● 接着剤を入れて組立ています。複雑過ぎて構造が解らん!ってメールが来てたんですが、規制が入ってブームが急降下した現在でも・・・まだ根強いツッコミファンが居るんだなあ・・・という実感もあり、少し感動しています(笑)・・・。胴枠の内部小口に接着している内部側板ですが、完全に接着するには圧着しなければなりません。こんな時に威力を発揮するのが、突っ張り棒の役目を持つカンザシパイプの補強棒材やらサーボベットのブラケット部材なんですなあ・・・。何れは所定の位置に組み込んで固定しますが、別の用途としても使える様に最初から設定してあります。
  
● この二枚側板・・・キット付属の場合は必ず同寸法・同形状が絶対条件です。今回のザノニア組立て記事では従来の大掛かりな治具を使いません。何故なら・・・治具は既に胴体内部に組み込まれているからですよ。外側拘束の治具だけでは無いんですよ。まあ、ネット上の大御所さん達のハイテク治具を崇拝されている追従モデラーさんは置いといて・・・本来の大手メーカーさんのグライダーキットにも応用可能な内治具ですので、お手持ちの化石キットに組み込むのも一つの方法。強度を上げるのには何もベニヤみたいな強固な部材を多用しなくても良い場合もあります。フカフカのソフト系3mmバルサを複雑に組み合わせても良いんですよ。内部構造体ですから・・・。言うなれば適材適所。内部構造体にスチレン材を使うのも良いかも・・・。当工房にはそんな工作方法も満載です。
  
● 内部構造体としての治具を組み込むと・・・結果的に軸の通った胴体が形成できます。何も複雑に考える必要は無いんですよ。算数レベルやら数学レベルを駆使すれば良いだけの事・・・。義務教育9年間を真面目にやってれば、自然と身に着く誰にでも理解できる幾何学の知識です。さあ!昭和の化石キットでも令和のホカホカキットにも応用可能なんですから、大いに活用して下さい。此れから紹介する尾翼や主翼の組立ても、複雑な治具は使いませんよ。全て内治具ですから・・・。(Part-3に続く)