ZANONIA 2023 (ガルモデル仕様替えオリジナル構造) Part-4

  
● 水平尾翼のテンプレート完成です。画像上の黄色い水平尾翼は2005年製作のザノニアです。この水平尾翼のスタビライザー部分はムクの一枚板です。薄く十字の線が見えますが、此れはムク板バルサの泣き所・・・湿気と強力な乾燥状態に弱いので、反ったり曲がったりとやられ放題(笑)・・・。平成のラジブーム中に、オークションで落札したザノニアのキットを自慢げにお仲間掲示板で紹介した後、いざ!製作開始と同時にムク板パーツの報復に遭遇・・・。お仲間掲示板でぶ~垂れ捲ってましたなあ・・・。キットのバルサの質が悪いだの・・・レーザー加工じゃないから好い加減だの・・・言いたい放題でしたなあ・・・。

● まあ・・・ね。昭和を知らない平成のモデラーなので、便利で親切なレーザーキットしか知らないんだもの・・・哀れとしか言えませんなあ。で!当時のモデラーさん、ムク板が沿ってる部品の場合、ザノニアの場合はヒノキの棒材を複雑に組んで埋め込むのが当り前だったんですなあ・・・。此れってラジコン専門誌の裏技コーナー記事が出所じゃないんです。お山のお仲間さんからの口コミなんですなあ・・・。目の前で現物見せてもらって、じゃあ俺もやろうってヤツです。今回はリブ組みの全面プランク仕様・・・。ムクで作るよりは軽くなるでしょうなあ・・・中身抜けてる分。

● 形紙の右側は部品の加工用・・・左側は構造と部品寸法確認用・・・。基本的に左右対称部品ばかりなのでこういう記し方にしています。エレベータの後縁材は、今回も2mmバルサの積層です。ラダー用に使ったスチレン治具の使い回しです。流石に治具が細く成るまでえぐったので・・・アルミのアングル材を両面テープで貼り付けて補強しました。ラダーと違ってエレベータは更に構造が複雑・・・。スタビライザーよりも面積がデカいんだもの・・・まあ、2005型よりは軽くなるでしょうね。
  
● ラダーの後縁材の二倍の部材を切り出しました。この部材の切り出しが一番面倒臭い・・・しかし必要部材なのでちょこっと辛抱して切り出しましょう。スチレン治具を使っての積層はラダーのそれと同じなので、然程の面倒臭さは我慢できる筈・・・。其れよりも仕上がった時の後縁部材の頑丈さには、誰もが驚くでしょうなあ・・・。スロットインの溝切加工・・・2mm分のバルサの厚みを剥がしただけの作業です。ネット博士からは怒られるかな?・・・かなりアバウトなんで・・・。

● 平成のラジコン関係の個人ページ・・・等身大のモデラーの素直なページも有れば、無理矢理等身大以上の技術や知識を満載した初心者モデラーのページも有ったかなあ・・・。まあ、アクセス数の向上を目指すなら・・・似非玄人モデラーに化ける努力も必要だったんだろうけど、それら全てが泥縄状態・・・もしくは絵に描いた餅?・・・みたいな不思議な初心者モデラーも居たっけなあ・・・。ネットの無料ブログのサービス終了と、航空法規制強化によるラジブーム衰退と同時に、この狂喜にも満ちた便乗組ラジブームは終焉を迎えた訳だが、元々の昭和からの古株モデラーさんのページは根強く残っているので、まあ、毎度の事ながら・・・ブームが去っても元に戻っただけの状態なので、私ら昭和のラジコン黎明期を知ってるモデラーには何の変化も在りませんなあ・・・。
  
● さあ!エレベータの部材を組立てて行きましょう。昭和の遺物・・・もしくは平成のバルサ材の性質を無視した材料取りの、滅茶苦茶なキットにも通用する組み立て手順のご紹介です。この組み立て方法は、多分・・・キットの小雑誌にもラジコン技術誌のキット製作記事にも登場しないと思われる手順かなあ・・・。何故なら、メーカーさんの材料取りの傷部分を暴露してしまう内容なんで・・・。ただし、どんなに正確に刻まれたバルサキットでも、組立て前のキットの保管状態で部材の曲がりや反りは当り前に起こるのが、この軽量木材のバルサの性質なので・・・まあ、其れ以上の自分なりの正確な組み立てを目指すモデラーなら普通にやってる手順とも言えますなあ。

● ヒンジラインが湾曲してしまった・・・何ちゅう!材質の悪いキットなんだ!メーカーは何しとんねん!・・・こんなの値段に見合わないぞ!・・・まあ、色んなぶ~垂れた初心者モデラーの製作記事を沢山拝見しましたなあ・・・。昭和でもキット製造から半年もすれば、どんなに正確に刻んだキットでも上記の状態は起こる訳ですが、だったら治具で部材を拘束してから組立てれば良いんですなあ・・・。ヒンジラインのエレベータ前縁をアングル材にクリップで固定すれば良いんです。単純でしょう?・・・ブチブチ、もう廃業して存在しない老舗メーカーの悪口書き並べたって、あまり意味が無いんですなあ・・・。むしろ、ご自分の製作技術の未熟さを露見させてる自虐記事なのか?って思われちゃいますよ。

● このエレベータ部材で一番重要なのは、ヒンジ取り付け面を正確に直線を出す事なので、直線状態を保ったまま他の部材を組み込んでいけば良いんです。リブとリブの間には斜めに入れた筋交いのリブも取り付けたんですが、ご存知!足場の構造に見られるバツ印の部材は、足場の構造体を正確な立方体で拘束させる為です。あの部材を筋交いと言うんですが、其れが在るのと無いのでは構造体の強度が大きく変わってきます。要するに・・・その足場の構造を応用すれば良いんですなあ・・・。で!結果はどうなるのか?・・・。治具から外した左右のエレベータ構造体のヒンジラインを合わせてみると・・・見事!直線状態を維持出来ています。

● 要は組立てに必要なサブアイテムは充実させた方が良いって事です。ラジコンヘリコプターやらラジコンカーみたいに金属部品を多用した正確な部材とは大違い・・・。ラジコン飛行機に軽量木材のバルサを多用してる時代は、当り前に起こる状態なので組立てに必要だと思われるアイテムは、自分で「此れって使えるかも・・・。」って思ったら、迷わず購入する成り捨てずに保管する成りすれば、こういう時に使える場合があるんですなあ・・・。
  
● 今度はスタビライザー側の組立です。外周は全てが積層部材・・・。今回は1mm・1,5mm・2mmのバルサシートの貼り合わせで構成しています。左右の前縁後縁側も分割積層にて構成したので、反りも曲がりもありません。此れがムクの棒材との違う所でしょうかね。さて!エレベータ側で紹介したヒンジラインの直線出しアイテム・・・今回は左右合体により、更なる直線が重要となります。よって簡素化されたアイテムから、少々大袈裟な治具っぽいアイテムを使用します。

● まずは全長900mmの定盤を一台・・・。その定盤の端に一辺が20mmのアルミアングル材をビス止めします。この定盤に厚さ14mmのファルカタ集成材のムク板をアングル材に添わせて皿ビス数本で固定します。此れで定盤を利用した左右分け部材構成のスタビ部品の組立て台が完成です。アルミアングルは粗直線ですので、このアングル面に後縁部材をクリップ止めすれば良いんです。何故、ファルカタシートで大袈裟に嵩上げしたのか・・・使用するクリップの履き込みが足らないので嵩上げしました。じゃあ!大きいクリップを使えば良いじゃん!・・・まあ、その手も有るが・・・大きいクリップは履き込みには対応するんだが、挟む圧力も増大するんでバルサの部材が凹むんですなあ・・・。其れを防ぐには適度な圧力の小さいクリップが必要に成ったので、こういう構造にしました。

● 頭の良いモデラーなら、もう自分なりの改造後の改良ポイントを見つけた筈・・・。其方の方が多くのモデラーに普及するんじゃないだろうか・・・。ファルカタ集成材は見た目バルサと見分けがつかないが、マチ針が刺さり難いのが難点・・・。ならば10mmのバルサシートに変更した方が良いんですなあ・・・。要はスタビの後縁が直線に成れば良いだけの事・・・。10mmバルサの小口に厚さ3mm程度のベニヤを貼っても直線は確保出来ますよ。当工房みたいな大袈裟な定盤を使わなくても・・・。バルサシートが勿体ないのならば、5mmのスチレンシートを二枚貼り合わせても良いかなあ・・・。本部材の最大目的は、ヒンジ取り付け面の直線出しのみ・・・。よって定盤の精度はあまり重要ではないんです。
  
● さて!スタビライザーのプランク作業に移行します。一応・・・後縁側の中心補強の為に、何時もやってるヒノキの補強棒材を埋め込んでます。ネット上のブログの製作記事を具に見て回りますが、この様な細かい補強はあまり見かけませんので、あまり重要視されていません。ところが当方の経験上・・・着陸進入失敗においてのお山での草むらでのグランドループで、スタビライザーの先端を激しく叩くと、水平尾翼全体が胴体取り付け部からへし折れる場合がありました。キットではそういう状況に対応すべく、継ぎ目無しの一本物後縁材を使うのがセオリーなんですが、当工房の場合は尾翼の後退設定やら下半角設定も多いので、中継ぎ方式を使います。その流れでの補強の意味もあるんです。
  
● プランクシートは1,5mm・・・。左右は同じ材質の柾目のシートです。よって上下も二枚組のシートで構成したので、左右の重さも同じです。接着剤には二時間硬化のエポキシを使いました。薄く塗り広げてスタビ中心にマチ針を刺し、左右の吊り合いを確認してからプランクシートを貼り込みます。定盤に固定しないのかよ!・・・ん?・・・固定してますけど・・・。アルミアングルで強固に上下から挟んでクリップで固定してます。スタビ幅の最大は80mm・・・其れが翼端側では挟んだアルミアングルが交差する程のテーパー比率なので、この状態でも尾翼全体はねじれ難いんです。此れも実戦値・・・。スタビ中心のスパー材がリブと交差する事で、細かい区画を沢山作りました。細かい区画を全面プランクすると、一つの独立した区画が沢山出来るので、捻じれに大変強く成るんです。まあ・・・ファントムのフライングスタビの後部半分はテーパー加工して上下からアルミシートを接着したハニカム構造です。その応用とでも言っておきましょう。そうそう、F-2型の後部胴体のあの逆アール部分・・・あの内部もキュービック状のハニカム構造です。敵のバルカン砲が貫通しても、大きく破損させない構造になってます。
  
● ガルモデルオリジナルのスタビライザーはムクのバルサシート8mmでした。本機の場合は5mmの厚みの中芯に1,5mmのバルサシートを上下でプランクしての8mmです。見た目は同じですけど、当工房の新型スタビの方が空間が在る分軽量って事になります。キットに不慣れな平成と令和のモデラーから見れば理解不能な余計な構造に見えるんでしょうけどね、昭和のモデラーには此れが当り前・・・。前にも記載しましたが、ヒンジ取り付け面を板目にする為だけの理由で、こんな複雑な加工を行いました。しかし、この材料取りならば・・・確実にヒンジ取り付け面は板目なので、上下の材質は同じ・・・。カッターナイフで溝を彫って、厚みのあるヒンジを差し込んでもズレませんしね。

● まあ・・・なんでカッターナイフの様な薄い刃先で溝切って、厚みのある板ヒンジなんか捻じ込むんだろう・・・。普通なら其処で昭和のモデラーなら疑問に思うんですよ。厚みのある蝶番型の板ヒンジを使うんだったら、それ相応の広い溝を彫るのが当り前です。何故なら板ヒンジの厚みの分が膨らむので、スタビ後縁が歪に膨らむ事に成るんですけど・・・。よって、溝彫専用の鋸刃ってのが有るんですけどね。此れを使えばヒンジ取り付け面が柾目でもセンターはズレないんですなあ・・・。此れが豆知識って事ですよ。
  
● まずはエレベータのコントロールリンケージの概要です。まだ試作段階なんですが、このOK模型のフレキシブルロッドは、こういう使い方も出来る見本です。PVC樹脂の角棒に数か所1,2mmの孔を開けて2mmのビスを捻じ込みます。長さが12mmのビスを角棒に6mm程捻じ込んだら、頭を番線カッターで飛ばします。白く見えるのがフレキシブルロッドの星形インナーパイプ・・・此れを残った2mmビスに捻じ込みます。此れで完成・・・至って簡単・・・。2005型ザノニアではテトラの同種パイプを二本組み込み、其々左右のエレベータホーンに単独リンケージしましたが、此れもテールヘビーに貢献してしまったんですなあ・・・。

● よって今回は此れを一本に変更・・・。しかし、単独リンケージとするには二股のロッドを組み込む必要がありました。ところが今度は二股ロッドとこの星形インナーパイプの結合に確実性を見いだせずにいました。其処で思いついたのが画像のリンケージ構造・・・。基本的にはサーボ側と同様にブロックの反対側も一本で良いんですけどね、このインナーパイプはアウターパイプ側との甘さが大きいので、動きはスムーズなんですがロール軸側とヨー軸側のガタが大きく成るので、其れがエレベータのガタに繋がるんですなあ・・・。よって二本にして、このヨー軸側とロール軸のガタの軽減を図ったんですが・・・。

● まずは一度組み込んで、満足行かなかったら次のリンケージを画策せねばなりません。まあ・・・動きはスムーズなので一応の結果は良き方向へ向かう筈・・・。このOK模型のフレキシブルセットを、過去のんびり飛行会の福引商品として提供したんですが、誰も良い顔しませんでしたねえ・・・。ミテクレが悪いってブーイングしてましたが・・・、こんな使い方も出来るんですよ。此れは一本のロッドを二本以上に変換する構造ですけど、このリンケージが理解できれば主翼のフラッペロンと水平尾翼のエレボンを組み合わせた空野彦吉さんのオリジナル飛行体は、殆ど作る事が可能なんですよ。其れもサーボがたった二個で・・・。言い換えればですねえ・・・V型尾翼のリンケージにも転用出来ますし・・・其れがグラス胴体ならば、テール側の軽量化にも大きく貢献できる様に成るんです。V尾翼の場合・・・エレボン仕様のラダベータにしても、其れがスロープアクロバットを殆どやらない(出来ない)タイプの機体なら、あまり意味が無いんですよ。だったら確実に動くリンケージを追求した方が良い訳ですなあ。

● このOK模型のフレキシブルロッドの製品は、EZ完成機辺りから出現した様に思うんですけど、この汎用性抜群リンケージパーツを誰が採用したのか気に成るところ・・・。先代の高松守氏なのか・・・其れとも当時専務(現社長)のトムさんなのか・・・それともEZ製品開発に携わったその他の誰かなのか・・・もし、現社長のトムさんなら未来を見越した部品設定でしたなあ・・・。このフレキシブルロッドとアクセサリーのプラパーツを組み合わせて組み込むんですが、この二種のパーツは現にEZ完成機のみならず・・・同社のパイロットブランドのバルサキットにも使われたぐらいですから、汎用性は良い訳ですよ。よって、今回の様なオリジナル満載なリンケージ構造にも転用可能なんです。

● テトラ(丹菊モデルクラフトからも同種のフレキロッドは発売されています。此方は専用ホーンから小物の金属パーツまでセットされた高級品です。多くのモデラーさんは、同種の製品ならテトラの製品を購入して自作機に組み込んだ筈・・・。ところがですなあ・・・このテトラのフレキロッドには泣き所があるんですなあ・・・。OK模型のインナー星形パイプと同種の形状をしてるんですが、2mmのビスを捻じ込むと、其の星形パイプの外部直径が僅かに膨らんでしまうので、アウターパイプと干渉して動きが渋くなるんです。此れは大きなカーブにも対応できる様にとのメーカー側の配慮なんでしょうけど、OK模型の同型パイプよりも柔らかい材質だったので膨らむ傾向にあったんでしょうなあ・・・。OK模型のインナーパイプの方が材質的には硬くて脆いんですが、そのおかげでねじ山が切れ易いって特徴があったんですよねえ。だから2mmネジを捻じ込んでも膨らまないのでアウターパイプと干渉し難いんですよ。よって当工房なら、OK模型のフレキシブルロッドに軍配を挙げてしまいました。その辺りの汎用性も見越しての本品の採用なら、トムさんは相当の斬れ者です・・・ナ!。
  
● 前にも記載したバルサシートや棒材の木目(柾目と板目)に関して、自作モデラーさんよりメールが来たのでお答えしましょう。左と中の水平尾翼は自作ライハーの物です。ガルモデルのザノニアキットみたいな8mmバルサの一枚板ではありません。ザノニアの水平尾翼の最大スパンは約600mmなんですが、此方の自作ライハーは800mmあります。よって軽量構造とする為にフラットな一枚板と同じ面なんですが、リブ組みプランク構造としてあります。後縁材の上下の幅は最大10mmですが、1,5mmのプランクを上下に行ったので実質7mmです。このヒンジ取り付け面が板目と成る様に、定尺80mm巾のシートから糸鋸盤で切り出した棒材です。厚みは5mm・・・つまり、厚さ5mmの80×900mmのシートから全長800mmのバルサ棒を切り出したという事です。

● 全てはヒンジ取り付け面を板目にする為に、ワザワザ棒材を切り出したんですが・・・。昭和のバルサキットの特徴なんですが、キットを購入したモデラーが間違えない様にとの配慮で、こういった尾翼関係の後縁材には部品番号が印刷されていた筈・・・。刻印された面が柾目・・・ヒンジを取り付ける面が板目に成る様に材料を設定してあります。ところが、現在でも残るネット販売を主体とするショップの中には、正確なレーザーの加工を全面に押し出しバルサキットの部品を作ってますが、中にはこの法則(定説)を無視した材料取りのキットを販売しているメーカーさんも有るようですね。80mm幅の定尺シートに水平尾翼や垂直尾翼の後縁材と前縁材を組み込むなら、シートは柾目を使うべきでしょう。

● 右側の画像はダイナフライト製のバードオブタイムの垂直尾翼です。部材はダイカットの打ち抜きですが、シートは前縁側がハードバルサに成る様に柾目の定尺シートから構成されています。此れが昭和のバルサキット・・・世界中共通の部品取りの法則です。このバードの垂直尾翼・・・柾目のシートで打ち抜いたので、板厚3mmの面は板目となります。よって薄いナイロン板のヒンジや紙ヒンジを使っても、カッターナイフで正確に中心に切り込みを入れてヒンジを差し込めば、必ずど真ん中に取り付けできる事になります。

● 結局の所・・・レーザー加工のバルサキットは正確な部品取りが出来るので、その面だけがクローズアップされただけで・・・こういった昭和のキット職人が知っていた当り前の木材加工の知識を無視すると、粗悪なキットと同じ扱いにされてしまいます。その辺りの知識は俄か仕込みでは理解不能レベルなので、かなりの勉強が必要でしょうね。自作モデラーさんが木村バルサ等にシート材の発注を掛ける時は、適材適所の言葉通りに板目と柾目の定尺シートの指示もされた方が良いでしょうなあ・・・。ただし!材質ランクが二段階くらい跳ね上がるので、割り増し料金は覚悟された方が良いでしょうなあ・・・。
  
● 上記画像で紹介したエレベータ動翼用の左右分割リンケージの搭載例です。後部の軸受けロッドを二本として正解だったようです。星形インナーパイプとアウターパイプにはガタが発生するリンケージロッドでは有るんですが、二本にした事で上下左右のガタが粗皆無となりました。動く方向は星形インナーロッドの前後移動のみなので、少々の擦れ合う様な抵抗感はありますが、此れはこのフレキシブルロッドの特徴なので、ガタを軽減するための必要枠だと思います。

● このフレキシブルロッドの歴史はかなり古いんですが、最初の頃はアウター・インナー共円状のパイプ同士だったので、湿気や急過ぎるカーブにおいては動きが渋くなる傾向にあり、粗直線引きによるリンケージ配置なら、ハードバルサの丸棒ロッドよりも動きはスムーズな方でした。多くの自作モデラーさんには愛用された時代もあるんですが、時間経過による動きの渋さにはその解決策がベテランの修理領域だったので・・・次第に使われなくなっていきました。その後、このインナー星形のパイプの出現によって、再び愛用者が増えて来ました。星形なのでアウターパイプとの接触面が面から線に変わり、動かす時の摩擦が軽減されるという構造なのが、その後のモデラー諸氏に広く支持された結果だろうと思います。

● 今回のリンケージ方法はホンの一例に過ぎません。他にも色んな使い回しが出来るOK模型製のフレキシブルロッドです。ご自宅で工具箱の中・・・あるいは専用小袋のまま使われずに化石化してるモデラーさんは、本パーツを引っ張り出して何処に使えるか?・・・何に使えるか?・・・をご自分で考察してみましょう。まあー究極の一例は水中でも自由に動けるパイプ式ロッドですので、使い方次第では新たな発見が見つかるかもしれません。
  
● エレベータのスライドホーンの位置を変更しました。上記画像よりも10mm上方に移動した事で、下部の長孔が不要に成りました。このまま知らんぷりしてフィルムで隠しても良かったのですが、ホーンを上向きに変更した事で、上部にもハッチが必要に成り・・・強度維持の為には塞いだ方が良いのでその修復作業を記載します。此れは飛行後の着陸失敗等で、機体に孔が開いた時にも使える修復方法の一つです。

● 元々、1,5mm厚のプラスチックホーンを使ったので、巾2mmの長孔を開けていました。よって長さ36mm・巾2mmの孔が開いています。画像の厚さ2mmのバルサシートを加工して修復を行います。当工房ならボロ隠しのレベルなんですが、意外と知らないモデラーも多いので此処までやってからオークションに出せ!というボロ隠しの見本を記載します。時々、ネット上のオークションサイトにて、使用済み完成機の傷在り品をサイトに出品しているモデラーを見かけます。度重なる着陸失敗で、主翼中央部にヒビが入っているが、フィルムを剥がしてマイクログラスを巻けば良いと、まあ・・・好い加減な事を書くなァ・・・って思っていました。フィルムが裂けたって事は、バルサも強い荷重に負けて座屈している状態・・・よって内部骨組みにも何らかの異常は在るのに、その補修もせずにグラスを巻けば良い!って、どういう修復方法やねん!と突っ込みたくなります。誰が落札するんだろうと思ってましたが、一週間経過しても誰も見向きもしません。そら、当り前ですなあ・・・。
  
● 段付け加工した画像の2mmバルサの両面に木工ボンドを塗り込み、溝に差し込み硬化をさせます。接着剤が乾いたら成形すればこの通り・・・。今回は製作途中の機体の修復ですが、胴体内部側からの修復は行っておりません。その必要が無いからです。この側板の厚みが2mmですので、2mmの段付けをしたバルサシートをはめ込むだけで良いのです。複雑に考えなくても確実に修復できるボロ隠し・・・。元来、カスタム職人さんならこんなボロ隠しの説明なんかしませんよ。確実に修復したら、被覆を行って色付けしちゃうから、言わなきゃ誰も解りませんしね。
  
● サーボプレートを組み込みました。ガルモデルのザノニアの場合・・・機体の生地完成後、もしくは被覆完了後にサーボ用のマウントを取り付けるのがセオリなんでしょうけど、本機の場合は内部構造が違うので、この様な組立て途中の胴体でも組み込む事が出来ます。此のプレートを取り付けると、更に構造体が強化出来るので、リンケージに支障の出る部材は取り除く事も出来ます。さて・・・どの部材を取っ払うのか・・・其れはもう少し先の事になります。

● スタビのエレベータを動かす為のスライドリンケージ機能を取り付ける際、機尾の構造体を一部取り外しましたが、此れとこの先のメカ室周りの部材取り除きは同じ意味合いとなるんです。リンケージを組み込む為の部材の取り除きに関して、最初から除きやすくする為にバルサ材で構成しました。構造体には後部胴体に必要な胴枠も固定してありましたが、これ等の胴枠は残したままにしてあります。最初からの段取りで、胴枠を正確に側板材に取り付けた後は、取り除きやすい構造で作ってあったんです。よって、其処まで大袈裟にせんでもええやろう!・・・的な構造にしてあるんです。

● メカ室を裏側から見て下さい。内部側板にはメカプレートを安定させる為のブリッジ部材が上中下と三本側板を貫いています。此れも内部側板を所定の位置に拘束する為の部材なんですが、言わば中抜きの胴枠の一部という意味合いです。胴体のメカ室上部のブリッジが数本見えますが、この部材がリンケージの際に邪魔な構造物に成るんです。何処をぶった切るのかはもっと先に成るんですが、此れも2005型ザノニアでは成し得なかった構造ですので、今回の2023型ザノニアが2005型の改良点とも言えるんです。こんな複雑な構造の胴体なんか、大手のメーカーならキットにはしないでしょうけどねえ・・・万人が組んでも同じ仕上がりになる胴体を追求していたら、こういう複雑な構造には成るんです。要するに・・・構造の簡素化された胴体を正確に組むには、其れなりのモデラー自身の腕が必要になるので、得手不得手・・・ベテランとビギナーにはその完成形に差が出てしまうんです。当工房の構造なら、その差が出難いと言いたいんですが、其れを現実化するにはモデラー自身のキットに対する勇猛果敢な行動力も必要に成るでしょうね。
  
● エレベータのフレキシブルロッド・サーボと連結する為の固定台座を作りました。名称としてはロッドブラケットに成るんでしょうけど、固定方法が独特なので当工房ではギロチンロックと呼んでいます。厚さが12mmのPVC樹脂ブロックの両面を2mmのカバベニヤで挟み、その隙間に蓋と成る別ブロックを挿入して皿ビスで固定するので、見た目はギロチン台みたいでしょ?・・・だからギロチンロック(笑)・・・。早速メカ室の変化に気づかれた人は偉いですよ。あれ?胴枠の一部が無い・・・。胴枠なんか切り取ったら胴体が弱く成るんじゃ・・・と思ってるかな?・・・。心配ご無用ですよ!、其の為にメカプレートの固定ブリッジ部材が胴枠の代わりをしてますので。

● 胴体外側は強固に部材を取り付けて固定しています。あれ?・・・内部構造体の内治具は取り外さないんじゃなかったのか?・・・まあ、かたい事は突っ込まないで下さいよ。其の為にメカプレート固定のブリッジ部材を入れたんだから・・・。ザノニアのキットの場合、サーボマウントを作る為の角材でブリッジを付けるじゃないですか。本機の場合は、ザノニアのキットの側面図に記載されたサーボの位置が解ってるんだもの、何処にメカプレートを付ければいいかって解るんだから・・・其のプレート固定のブリッジ部材の位置も決まる訳ですよ。
(Part-5に続く)