Ask-8 (Alexander Schleicher) スキッドとレリーズフックの工作 Part-42
          
● スキッドの配置としてはこんな感じなんですが・・・。当工房のスキッドは全て固定式なんですが、本機の場合はスポンジラバーを挟んだダンパー式と成っています。構造的には如何なモノか・・・若干ですが、不安も残る解説の簡略度合いだったので・・・本機の場合はキットの解説に補足を付け足して記載して行きます。この解説を観ても解るんですが・・・初心者さん用の解説じゃ無いんですなあ・・・。まあ・・・模型用のラジコンキットを組み慣れたモデラー仕様なので、細かい指示が無いのですがねえ(笑)・・・。購入された初心者モデラーさんが、自分のブログやお仲間掲示板でぐちゃぐちゃと文句垂れる方が筋違いだと思います。
 
● カバベニヤの積層で作られたスキッド板なんですが、先端は薄く削ってグラス製のノーズコーンの中に差し込み、タッピングビスで固定します。ダンパーとして機能するスポンジ製のラバーですが、挟むだけの解説しかしてないんですが・・・。抜けたり外れたりを防止するなら、スキッド板に皿のタッピングビスで固定した方が良いとは思いますなあ・・・。細かい指示がしてないんですがねえ・・・。
          
● スキッド板を一部加工して仮付けしてみました。スポンジラバーの固定位置は図面通り・・・。此の状態でスキッド後部を固定すると、実に理想のアールを形成しています。スロープで飛ばす場合・・・このスキッドの役目は、隠れお地蔵さんにヒットした時に発揮されるでしょうね(笑)・・・。
 
● 解説書のイラストでは・・・グラス製のノーズコーンとベニヤ製のスキッドのアウトラインは面一設定なので、本来ならばこの様な差し込み式では無いのかもしれません・・・。しかしながら、そういう加工ならばワザワザグラスの段付積層なんか必要なさそうなんですが、どういう意図なのか判断が着かなかったので今回は差し込み式として、グラスの外側からナベ頭のタッピングビスで固定する方法を使います。スキッド後部なんですが、解説指示では画像の様に密着固定に成っていますが・・・。
          
● 敢えて隙間を設けて更なるダンパー効果を狙う方法もあるでしょう。グランドにおいてのウインチに寄る曳航で高度を獲得し滞空するサーマルソアリングならば、このスキッド後部にはスプリングダンパーを追加してクッション性を良くする方法もあるでしょう。今回はどちらでも使える様に自作パーツを組み込んでご紹介しましょう。
 
● 画像はキット指示における曳航フックの取り付け位置なんですが、かなり前方・・・そして胴体中心から左側にオフセットされています。何の為?・・・。かなり不思議に思ったのは、日本国内のモデラーならば多いかと・・・。模型歴が40年近いモデラーならば、ガルモデルの一条氏の著書「グライダーのすべて・・・」を一度は読まれてると思います。この書の中に曳航フックの取り付け位置という項目が有り・・・一番無難な取り付け位置は、機体の重心位置から前方25度・・・と指示してあります。

● この角度設定は、多分・・・一条氏の経験値なのではと思います。キットに指示が無い場合・・・あるいは自作のグライダーを作った場合の最初の基準となるフック位置の事です。この位置ならばウインチ曳航でもショックコードでも、自然な上昇角度で適切な機首上げに寄る主翼に余計な負担を与えず高度獲得が出来る位置という意味です。よってエレベータもニュートラルのまま・・・要するに初心者設定って事ですなあ・・・。高度を更に上げたい時は、フック位置は其のままにエレベータを引けば良い・・・。ただし、抵抗が増える分機体の直進性が落ちるので、初心者さんは常に敏感に反応するラダーを打ち捲らないと真っ直ぐ上昇が出来ない事になるんですなあ・・・。要するにこのフック位置の角度が小さいと、機体は手を離れた時点で機首が急角度で上を向くので垂直安定効果の乏しい機体は、お尻フリフリのダッチロール減少により中々高度が獲得できないって事に成るんだなあ・・・。
          
● キット解説では何も指示が記載して無いのですが・・・このスキッドの衝撃対策によるスポンジラバーの脱落を防ぐ加工を行っています。仕上がるとスキッドの前後をビスで固定しますので、このスポンジは胴体下部に圧着される訳ですが・・・。荷重が掛かれば更に縮むスポンジは、挟み込んでるだけの状態ならば何れはズレて行き・・・最終的に外れてしまいます。其れに気づかずスロープ斜面に接地させていると、衝撃で外れたスポンジが何処に落ちたか解らなくなり紛失します。草原の中の部品探しは一苦労です。
 
● まずは2mmのドリル刃で下孔を開けて、皿ビスを使ってビスの頭をスキッド面に埋め込みます。この際の皿取りなんですが、モデラーさんのブログを見て廻ると・・・金属加工用の円錐状の皿取りを行う専門工具を見かけます・・・。しかしながら綺麗に皿揉みが出来てるかと言えば・・・そうでも無い・・・。まあ・・・そういった専門工具を使うのが、ブログに製作記事を挙げる場合の定説だと勘違いしてる(笑)・・・多いなあ・・・。

● 上記でも述べたんですが・・・新品ドリル刃で穴の開かない不良品・・・の記載同様に、孔を開ける側の部材が柔らか過ぎても孔は綺麗に加工出来ません。よって木材等に皿を作る時は画像の様な円錐状のヤスリを使った方が綺麗に空きます。柔らかければ柔らかい程・・・ヤスリや円錐状に加工したサンドホルダーの方が綺麗に加工出来ます。

● スポンジが脱落しない様にすれば良いだけですので・・・タッピングビスの先端で強制的にスポンジにねじ山を作って固定しています。力任せに引っ張れば簡単にスポンジは抜けます。捻じ込んでるのは3mmの皿ビス・・・。スキッド側の孔2mmに強制的に3mmビスでねじ山を作ったので、ビス自体がスキッドに固定されています。別に胴体側にも貫通させて・・・ってやってると、今度はスポンジのダンパー効果が無くなるので、貫通させての固定はお勧めできません。普通に脳内でシュミレーションすれば、ラジコンモデラーなら誰しもが気付く筈・・・。訳の解らないツッコミの質問・・・返事に困る・・・。胴体下面に圧着してる事をお忘れなく・・・。
 
● スキッド後部には長孔が設けてあります。解説書の一文(僅か一行)によれば・・・キット付属のタッピングビスで固定せよ!と在るんですが、何故に長孔なのか?・・・という状況から、ここは半固定にした方が良いという事かも知れませんなあ・・・。要するに・・・着陸時のスキッドに掛かる荷重は、スキッド本体を胴体後部に流し吸収させる目的ならば安易に完全固定はしない方が良いって事になります。

● しかし・・・このままスリットの中心辺りを狙ってタッピングビスを埋め込んでも、度重なる前後の動きに摩耗を促進させるだけなので何の補強もしないというのも疲労促進の要因となってしまいます。此処は一つ・・・クラシカルな実機の組立て画像でも観ながら機構を考察するのも良いかもしれません。
 
● キット付属のレリーズパーツを使って、オリジナルのレリーズユニットを製作します。何時ものPVC樹脂の角棒(14×28mm)の厚み(14mm)の中心に、レリーズ用のアルミパイプを埋め込む加工なんですが・・・。一般的にホームセンターで購入出来るであろうドリル刃の直径は0,5mm刻み・・・。ところがこのキット付属のアルミパーツはインチ仕様・・・。9,65mmなんて中途半端なドリル刃も保有するモデラ―なんぞ、本職が金属の精密加工業者のモデラ―しか居らんだろう・・・と思える事から、近似のサイズで孔を加工し若干テーパー状の孔には成るがリーマーで微調整・・・。画像を観て解ります?~・・・。この段付のアルミパーツをインサートして内部固定するので、上下の孔径が違うの・・・。
 
● 近似サイズのミリドリル刃とリーマーで孔加工すると、まあ使えるだろうレベルの好い加減な加工状態には成るんですが・・・。出来てしまった隙間が素人っぽく見えてるネット物知り博士の皆さん(笑)!・・・。大いに馬鹿にしてくれて結構!・・・。ただ・・・殆どの博士さんは、この加工すら面倒臭がるので多分同じ物は創造出来ないでしょうなあ・・・。できちまった隙間あ?・・・。んなモン!、グルーガンで埋めちまえばアルミパーツの抜け止めには成るし・・・。分解する時は出っ張った方向を、ゴムハンマーでブッ叩けば外せます(笑)・・・。ホント!グルーガンは便利ですなあ・・・。PVC樹脂とグルー溶材は親戚みたいなモンだし、溶着が容易に出来るし・・・。
          
● さてさて・・・どういった形状のレリーズユニットに仕上がるでしょうなあ・・・。実は完璧なる完成形のユニットはまだ図面上にもイラスト上にも無いんです・・・。ただ・・・朧げな機構のみとユニットの取り付け方法しか確立しておりません・・・。
          
● 既に確立されて量産品として販売されているのは円筒形のアルミパーツのみ・・・。しかしこのアルミのユニットを、この大型グライダーに確実に固定する為には其れなりの構造が必要と成ります。キット解説の木部品を使って組み込んでも良いとは思うんですが・・・。この羽目殺しってのが気に入らない・・・。舶来キットでは当たり前に見られる羽目殺しユニット(笑)・・・。もし!不具合が出て交換する時は・・・機体を大きく破壊しないと取り出せない・・・って所が気に入りません。
          
● PVC樹脂のハウジングブロックに埋め込んだレリーズのアルミパーツなんですが、不用意に抜けて来ない様なストッパーを設けなければ成りません。何故なら・・・ウインチやショックコードで曳航後、上空で索が外れなくなったら索の長さの範囲のみで着陸回収させる事になるんですが・・・この際、索が機体に絡まるとコントロール不能による墜落事故が起きるかもしれません。初心者モデラーなら一度は経験する確率の高い事故なんですよねえ・・・。黒く塗りつぶした部分にグルーガンで溶剤を盛り付けると、アルミパイプの抜け止めに成ります。
 
● アルミアングル材を加工してブラケットを作りました。このブラケットでレリーズのユニットをガッチリと挟み込み・・・胴体のキール部分に機体内部から埋め込みます。本機で唯一参考になったボックス型のキールスキッド・・・今後、何かの機体を自作する時に採用してみたいと思いました。このユニットの最大幅は28mm・・・。このキール材の内寸が30mm・・・。充分取り付け可能ですしね・・・。標準サーボが余裕で埋め込める所も魅力の一つかなあ・・・。
          
● レリーズフックのストッパーとなるインナーピストンの加工を行います。手前に見える孔はシャフト・・・もしくは付属のワイヤーを銀ロー付けする為に開けられています。しかしながら、細かい固定方法等の解説が記載してありません。適当にと瞬間接着剤を流して完了・・・って止めましょうね。曳航中に掛かる荷重は数十キログラム・・・その荷重の掛かっている部品をロックする為の機能ですから・・・。今回はイモネジを使って固定しますのでねじ山加工を行います。この部品をバイスに挟んで一部平面加工をして下さい。アルミの種類は炭素含有量の多い快削系のジュラルミン(2025~6063辺り・・・俗に言われる17S=2017より硬いかも)・・・。普通の組みヤスリでも簡単に削れてくれます。
 
● イモネジが3mmですので・・・2,5mmのドリル刃で上下迄の貫通孔を開けます。使用するドリル刃は進角の浅いハイス系の刃を使った方が綺麗に孔が開きます。貫通孔を開けたらタップ切りを使って3mmのねじ山を作ります。こちらも上下に貫通させるねじ山を切って下さい。
 
● このインナーピストンのパーツなんですが、外缶同様に部品番号と数量と品名は記載してあるんですが、細かい箇所の寸法等が不明です。このシャフト勘合用の孔なんですが、2,5mmのドリル刃だと若干ガタガタでした。舶来品なのでインチの筈・・・。一応換算表を参考に3/32インチ(約2,38mm)ではないみたい・・・。考えられるのは日本国内ではあまり馴染みの無い7/64インチ(約2,77mm)・・・。この穴にピッタリなピアノ線もカーボンシャフトも無いので・・・。工具箱を引っ掻き回して見つけたのが、ホームセンターで以前購入していた子供の工作用品の「ニューム管」の10本セットを差し込むと…あら不思議・・・。ガタも無くピッタリでした。しかし、此れだけでは強度が全く無いのでロッドアジャスターのねじ山付きの短いシャフトをニューム管に差し込むと・・・これまたピッタリ・・・。此の状態でイモネジを締めてみると、確実なシャフトの固定具合・・・。

● 何故にねじ山付きにしたのか・・・。此れから作るコントロールバーのクランクが使えて、更に微調整が容易に行えて・・・とまあ!あれこれとシビアに考えると・・・結局の所、かなり複雑な部品を更にもう一つ作る事になりました。普通にエル型クランクを作れば良さそうなんですがねえ・・・。円筒形の太いシャフトを直線移動させる為のリンクってのは、ラジコン飛行機のリンケージの様なファジーな機構では難しいんですよ。回転運動を有するクランクと直線運動に限定されるピストンのリンクだし・・・。

● アルミのブラケット側面に見えるビスは、PVC樹脂製のレリーズフック本体を両面から固定しています。加工方法は至ってアナログ・・・。まず!片方のブラケットに孔位置を作図して1,5mmのドリル刃で貫通孔を開けます。今度は左右のブラケットを寸法を揃えてハンドバイスでロックして、再度貫通孔を開けます。この加工が終わったら・・・最後にPVCのブロックにドリルの刃先で若干の凹みを入れて、今度の貫通孔はボール盤で・・・。アルミのブラケットには2mmのビスを差し込むので孔を2mmに拡張します。PVCのブロックには左右のアルミブラケットを挟んでビス止め出来る様にしました。なんでこんな複雑な加工が必要なのか・・・まあ・・・アナログ加工における昭和のモデラ―のパーツ造りだからですよ(笑)・・・。フックユニットは金属製・・・このユニットを木製のグライダーにどうやって取り付けるのか?・・・となれば、方法は必然的にこう成るんですなあ・・・。

● 本機の胴体の内部構造を観れば・・・此れしか方法が無いのでこういう面倒臭え構造に成るんですなあ・・・。此れは創造なんですが、このメーカーさんのK8の初期型試作機には専用のレリーズフックはまだ存在して無かった筈・・・。このピストンシリンダー型のフックはトーイング用として開発され・・・あれ?もしかすると曳航索のレリーズフックにも使えるんじゃねえか?って事で採用された・・・。しかしながらスケール感重視の為、センターフックの搭載が不可能に成った・・・。そこでスプリング式スキッドの左側にオフセットで搭載・・・。多分・・・此れでも曳航中の機体の姿勢にはあまり大きなロール軸の傾斜は無いと思われるんですが、他の機体への搭載も考慮して今回ユニットを作ってみました。多分次回作のスケール機にも使うでしょう・・・。トーイング用のレリーズが一つ余ってるし・・・。(Part-43に続く)