VEGA-Ⅱ型(No-13) 山本昇氏オリジナル設計機 Part-1

 
● Ⅰ型よりも穏やかな飛びをするⅡ型です。氏のお言葉通りに、この機体の方が何故か飛ばし易い・・・。同じ過激な翼型である(エップラー374)なんですが・・・。あれ?同じ翼型かあって錯覚する位の大人しさ・・・。よってフラットボトム系のハンドランチグライダーからいきなり本機へ移行・・・出来るかと言えば、そうでもない・・・。結局フラットボトム系の翼型って下面に抵抗と成るアール面がありません。上面はふくらんでますが・・・。だからフラットボトム翼って言うんですがねえ。翼の上面が膨らんでると気圧の関係で揚力が発生しますが、フラットボトム系の翼型は下面がフラットなので抵抗が無い・・・よって下向きの揚力が発生しません。しかし半対称翼型に属する(エップラー374)は、下面も膨らんでるので下向き揚力が発生します。

● 半対称翼型はスピードが出ると言われる所以は・・・上向きの揚力の他に下向きの揚力も発生するので、どんどん加速しても不意な機首上げが起きないのでパイロン機等に多用されてます。こういった翼型を無動力のグライダーに使用すると・・・たちまち初心者用のグライダー入門機とは言えなく成るんですが・・・。入門用のフラットボトム系翼型のグライダーを、意図的にエレベータダウンで走らせる位までに上達したら、こういった翼型を有するハンドランチ系グライダー(SAL)辺りへ移行しても良いんじゃないでしょうか・・・。ただ・・・本機はまだ無理でしょうなあ・・・。Ⅰ型よりは穏やかな性格とはいえ・・・それでも適正風速は8メートル前後・・・強風域と言えるお山の状況です。よって半対称翼型を使った飛行は、ピッタリ重心ならばどんどん機首を下げつつ走るので・・・エレベーターで吊る(エレベーターをアップ)操作で飛ばすのが面白いかもしれませんね。ただし引き過ぎて減速させると、途端に失速・・・。半対称だから機速が着かないとエレベータを引いても機首上げが遅れます。よって高度が足らないと・・・墜落うううう!山下りでの回収作業は決定です(笑)・・・。
          
● 実は・・・このⅡ型機に関する記述って、此れだけしか無いんです。どうやって飛行機作れんねん!ってスチレン世代のモデラーならば途方に暮れるんだろうなあ・・・って思いますなあ。Ⅰ型とⅢ型は縮小サイズだけど詳しく掛かれた三面図も掲載されてるのに、このⅡ型ときたらイラストの三面図しか載ってません。普通の自作モデラーでも二の足踏みたくなる様な情報の無さ・・・。多分複製なんかしないだろうと思いますよ。

● しかしですなあ・・・。このⅡ型のヴェガ・・・一番汎用の利くフォルムなんですなあ・・・。多分、後部胴体を二本として其れを跨ぐスタビライザーを搭載すれば、プッシャーブラシレス搭載・・・EDF搭載においてのグランド仕様機に変身できます。カテゴリーはテープ切りコンバット機・・・。構造はベニヤとバルサのオーソドックス型・・・スチレン構造体にバルサプランク・・・オールスチレン構造体・・・等、どれでも可能でしょうなあ・・・。まあ、早い話が、昭和のひまし油世代でも平成のスチレン世代でも関係なく作れて飛ばせる面白い機体に化ける可能性を秘めとるんですわねえ・・・。

● 詳細な三面図が無ければ複製するのは面倒臭いし・・・こっそりオークションに出そうにも手抜きで作ったら高額には成らんだろうし・・・って、悪い考え丸出しのモデラーも・・・流石にバッタモンが作れずお困りだったでしょうなあ・・・。ただねえ?・・・Ⅰ型とⅢ型の詳細三面図っていう強力なアイテムが有るじゃないですか!。5センチ四方だけどイラスト三面図も載ってるし・・・此処からいきなり原寸大に拡大しようとするから、仕上がりがバッタモン臭く成るんであって・・・。まずはⅠ型とⅢ型サイズの縮小三面図と同等のサイズで三面図を引けば良いんですなあ・・・。

● こういった製作記事っていうのは、その飛行物体を自作した誌上モデラー個々の癖とか個性みたいなモノが図面に反映されています。よって現在目の前に有る資料を使えば、何の事は無い・・・複製は出来たりします。其れを面倒臭いって思ってしまうから永遠に複製出来ないのであって、ちょこっと本腰入れてやっちゃえば自分の能力の再発見にも繋がったりするんですよねえ・・・。所謂・・・自分に暗示をかけてしまう魔力みたいなモンですなあ・・・。見事図面が引き上がれば、「俺って・・・凄いかもおおおお!。」って自画自賛したくなりますよ(笑)・・・。飛ばす技術は持っている・・・後は作る技術も同期させれば、ヤフーブログのラジ絶さんみたいなスクラッチビルドは当たり前に出来たりするんですがねえ・・・。仕事や子育てが忙しくて作ってる時間が無い!って理由付けしてるモデラーには無理かなァ・・・。世の中の扶養家族持ちのカスタム職人さん達を観れば良い・・・。仕事と家族サービスを両立させてるでしょ?・・・。
          
● 主翼をバラさず胴体の前後をバラす・・・。何とまあ!・・・発想の転換ですね・・・。こういうバラし方・・・当時は思い付いても誰もこのクラスでは実践しませんでした。理由は単純・・・。胴体の三分割なんて多分正確には出来ないだろうって誰しもが思ってましたしねえ・・・。でもですなあ・・・。機首が外れるって事は、無動力機を動力機にも変換可能って事でしょう?・・・。実際に舶来のシャーレー機には、ノーズユニットの交換で動力モードと無動力モードを両立させて販売してるメーカーも有りますし・・・。山本さんは、一つの模型世界における可能性を一早く実現させた先駆者とも言えるんですなあ・・・。昭和40年代に・・・。平成生まれのスチレン世代が、まだ畑の大根か白菜の栄養分だった頃に・・・。
          
● 後部胴体をこの位置で分割・・・。斬新に見えますか?・・・邪道に見えますか?・・・構造が複雑になるから工作が面倒臭く作業性が悪くなる!・・・ってイチャモン付けてるのは、平成生まれのスチレン世代だけだろうなあ(笑)・・・。実はですなあ・・・この昭和40年代に、こういう後部胴体分割構造は実機の世界では既に確立されていました。ノースアメリカンF-86Fセイバーは、まったく同じ場所で胴体を分割・・・。後部胴体を専用のダーリーに載せて分解すると、前部胴体側に固定されたジェットエンジンが全て剥き出しに成るんですなあ・・・。

● よってエンジンを外す時や整備を終えて機体に組み込んだエンジンの試運転をやる時は、この状態のまま牽引車に引かれてエンジンのランナップ格納庫へ移動・・・。そのままマックスパワーまでエンジンを起動させてテスト・・・。問題が無ければ整備格納庫に戻って来て後部胴体を装着・・・。ですから元ハチロク整備員にとっては、極々当たり前の分割構造だったりします。正確に作れないってスチレン世代は思ってる様だけど・・・オールスチレン製の機体をセロテープグルグル巻きで作ってるから無理なだけであって、スチレン構造体であっても同じ分割構造は出来るんだけどなあ・・・。極々正確に・・・。
  
● ヴェガの機首側コクピット後部の分割状況と、当工房製品である(NV-01型)の分割コクピットの画像です。当工房の場合は生地完成のキットとして製作したので、モデラーに渡った時の配線メンテの作業性を良くする意味で、こういった状態にしているだけで・・・リードハーネスの組み込みが済めばエポキシ接着剤をべた塗して合体してもらいます。正確に作れない!・・・???。正確に合体出来てるじゃないですか!。
 
● 既に分割可能か否か・・・実践での検証は済んでます。この(NV-01型)は無動力設定で作ったので、合体させて接着してしまいましたが、分割する面をバルサよりも硬い厚めのシナベニヤに交換すれば・・・無動力のガチンコ・スロープグライダーからブラシレスモーター搭載のグランド仕様の機体への変換も可能なんですなあ・・・。最初からそういう仕様にしなかったのは、ラジコンブームのキチガイみたいな時期の真っ最中だったので、多分競争する様な過激な設定に改造されて事故多発・・・を防ぐ目的もありました。だからあまり数は出てません・・・。それでも数十機の単位・・・。適正ブラシレス(3セル=11,1V)で充分飛行可能ですよ。

● 正確に分割出来るんだから、工作は可能だという事をご理解頂けましたか?・・・。ヴェガでも同じです・・・。要は根気の問題・・・。製作記事をブログにアップすれば、閲覧者数は右肩上がり・・・。だからって画像数枚で出来ましたああああああ!・・・も一つの手っ取り早い方法なんですが、閲覧モデラー諸氏は苦労して組み立てる時系列を共有したがってます。コメント観てれば解るでしょう?・・・。工作の手助けに成る様な文面が満載です。他人の製作記事に共感して、自分も満足・・・。言い換えれば、内心・・・闘志をメラメラと燃やしてる表われとも言えるんですなあ・・・。自分自身に対してケツ叩いて勇気づけてるって事ですよ(笑)・・・。
          
● 現在イラスト三面図を5倍に拡大してアウトライン確認用図面を作成中です。イラスト三面図に記載された胴体の実寸全長が(54mm)です。此れが更に原寸拡大すると1350mm・・・。イラストの実寸の25倍が原寸なんですが、いやはや・・・ヴェガⅠ型よりもデカいんだとは解ってるんですが、実際に何かの機体と比較すると・・・ワイルドボアのⅡBよりもデカかった(笑)・・・。何処とな~く・・・(YF-23型ステルス)に見えなくもない・・・。でも・・・まだ昭和48年頃には、その存在すら知られていなかった筈・・・。山本さん・・・当時の航空雑誌でロッキードかノースロップ辺りの試作航空機の原案でも観たんだろうか・・・。因みに(YF-23型)は(YF-22型)と時期を同じく開発されて、両機とも耐用年数試験期間に入ったんですが、負けちゃいました・・・。ただ個人的には素晴らしい機体だと思いますよ。流れは(SR-71型BLACK BIRD)と同じフォルムを持っているからです。

● 胴体幅は75~80mm前後で収まりそうなんですが、主翼の最大翼弦は700mm近くになるので・・・3mm肉抜きバルサと2mmの抜き無しリブで主翼を構成する必要が有りそうですね・・・。一番厄介なのがフライングスタビライザー・・・。最大翼弦が図面上の実測では根元で270mm前後プラスマイナス5mmと成りました・・・。まるで主翼じゃん!・・・。ね?・・・テールモーメントアームが短いと、尾翼が必然的に大きく成ってしまうんですよねえ・・・。プランク無しで持つかなあ・・・。ちょこっと心配・・・。
          
● 胴体の一部がくびれてるでしょう・・・。此れに関してネット物知り博士がスロープに一枚板主翼のデコパネ設定のヴェガⅡ型モドキを持ち込んだ際・・・、何故に胴体をワザワザくびれた状態で再現・・・。何でくびれてるのか聞いたら・・・「イラスト三面図で指定されてるからじゃないですかああああ!。」って主張してたんですが・・・。まあ・・・投げても浮かない一枚板のヴェガ・・・。でも・・・博士ともあろう秀才君が、何故に意味の無い胴体のくびれを付けたんだろう・・・。

● 閲覧してるモデラーさんも勘違いするかもなあ・・・。立体的に考えて下さいね?・・・。ジョディ・フォスター主演のSF映画(CONTACT)中の台詞に武器商人ハデン氏の言葉が有ります。「ヴェガ人らしく立体的に分解図面を見ろ!・・・。」分解図面を平面で組み合わせても合わない時は、立体的に組み合わせてみれば良いのだって言ってます。主翼は一枚板に見えますが、翼型に膨らんでいます・・・。胴体がくびれて見えるのは、膨らんだ翼の中に胴体が埋まっているからです。だからくびれて見えてるだけです。ただ・・・この機体は胴体の三分割構造なので、主翼を作ってプランクすると・・・必然的に各胴枠は普通の構造体とは違った位置でラインを形成します。もしも・・・主翼が一枚板ならば、普通の何の変哲もない胴体のラインなんですけどねえ(笑)・・・。

● 他の二機種にも同じ事が言えます。ただ・・・この二機種に関しては詳しく示した縮小三面図が掲載されているので、見えない胴体のラインは点線表示で書き記してあります。しかし・・・このⅡ型機には詳細な三面図が有りません・・・。よってこんなネット物知り博士のへんてこりんな工作が見れたりするんですなあ(笑)・・・。今現在・・・Ⅱ型機のアウトライン確認三面図を作成中ですが・・・胴体の見えないラインは点線表示で記載中です。くれぐれも勘違い為さらぬ様お願いします。
 
● この二機種も機体を上から見ると、胴体がくびれてる様に見えるんですが・・・。実際は主翼の中に埋まってるんですよ。・・・と考えた方が複雑に悩まなくてもよくなります・・・。主翼が胴体の上部付近に左右二分割で結合されるグラス胴をお持ちなら、上から見ると胴体がくびれてる様に見える筈です。図面に表記する時は点線で胴体の本来のラインを描きますが、小さいイラストの場合は、飛行機全体のアウトラインしか描かないのでこういう表示の仕方に成ります。飛行機の上面イラストを観て・・・胴体のラインがくびれていたら・・・かなり胴体の上部に主翼が位置してるって判断しましょうね。秀才の博士君!・・・。
 
● Ⅰ型とⅢ型の詳細図面です。縮小詳細図面からⅡ型に必要な情報を抜粋しながら、Ⅱ型機の詳細三面図を作成しています。山本さんのこの三機種のヴェガの特徴なんですが・・・サーボを全て胴体の中に配置する為に、主翼の中心結合部を各胴枠と合体させている点に有るんです。よって従来の胴体と主翼を分割する普通の構造では無いので、工作が難しく見えてしまいます。ところがですなあ・・・普通に考えて、ラジコン機特有の胴体と主翼の分解構造にすると・・・其々の分割部にはかなりの補強を加えないと綺麗に仕上がらなく成ってしまいます。その補強が重量増加に繋がるんです。よって一体化すれば、その周辺の余計な工作が必要無くなる分、軽量化出来るんですが・・・内部構造が複雑に成ってしまいました。其れが手抜きヴェガの原因なんですなあ・・・。本来のヴェガの性能を落としてしまってるネット物知り博士達の手抜きヴェガ・・・大変残念ですなあ・・・。勿体ないと思わんか?。
          
● 山本さんのヴェガに限らず数ある飛行機記事の特徴なんですが、リブ間のピッチが全機種似通っています。主翼は概ねピッチ60mm・・・水平尾翼は40mmです。このヴェガの三機種から主翼のリブピッチを計った所・・・このピッチで主翼のスパン(翼長)が決定してるみたいですね。胴体に対して主翼には取り付け角1,5度とメインスパー支点の捻じり下げが2度付けられています。エルロンはテーパー幅のリブ組み構造です。何故にリブ組み・・・。其れはね?・・・捻じり易いから~(笑)・・・。軽量化ってだけじゃ無いんだなあ・・・。山本さんの脳みそってホントに柔軟ですなあ・・・。
          
● 画像ではブルースモークのキャノピーが付いてますが、キャノピーラッチが何処を探しても有りません。何故なら・・・キャノピー後部のヘッドレスト位置で分割してるからですなあ・・・。じゃあ!メカはどうやって固定するんかいナ・・・。そら!もう!後ろから押し込むんでしょうなあ(笑)・・・。あれ?ちと!テールヘビーやなあ・・・。って時は、鉛の塊をスポンジで包んで機首先端に押し込み・・・其れを押さえる様に、バッテリーを押し込み・・・最後に受信機を押し込む・・・。実に面白い!・・・。こんな発想・・・今の時代には無いんだろうか・・・。きっと馬鹿にされるから・・・とか、時代に沿わないとか・・・そんな好い加減な工作なんか・・・で切り捨てられるんだろうか・・・。実に勿体ねえ・・・。(Part-2に続く)