Ange-ssg (ブルーエンジェル60) F3A型スケールスタントグライダー Part-1 (2) (3) (4) (5)
  
● (寝ても覚めてもラジコン飛行機))の(kazybu)さんより、加藤無線(MK)のブルーエンジェル60グローの原寸三面図を頂きました。このF3A機を大きく崩さずスロープスタントグライダーとして再設計します。昭和の時代から・・・当時のF3A機を無動力のスロープ用ガチンコグライダーに自作で作り変えるモデラーは後を絶ちません。F3Aは好きな競技なんだけど、敷居が高くて、中々上位に食い込めないモデラーさんは置いてけぼり扱いにされ・・・話の輪にも入れてもらえなく成ります。そういったモデラーさんが居場所を求めて流離う先が御山です。お山に行くと無動力なグライダーがワンサカ飛んでます。中には強風時において無動力とは思えない位のアクロバット飛行をやってるモデラーもいます。グランドでは万年ドンケツ争いの常連だったモデラーさんが一念発起・・・。活路を見出したのがスロープスタントグライダーでした。
   
● ただ・・・自作するとなると、スタントグライダーに適した機体のデザインが解りません。翼面積はどの位に設定するのか?・・・全備重量は?・・・っとあれこれ考えて、結局作った機体は・・・胴体はF3A機なんですけど、主翼はヒョロッと長く、低翼仕様なのでエルロンを付けて・・・。御山の風速コンデイションは何時も強風とは限りませんので、弱風でも飛べる様にと主翼だけは細くて長く・・・。私が過去見てきたのはそういうタイプのデザインばかりでした。上空を飛んでるフォルムは、まさにソアラー・・・。F3A機に見えなくも無いんですけど、やっぱりソアラーなんですなあ・・・。でも文句は絶対付けられません。自作モデラーの楽しみなんだもの・・・。F3Aからの転向組もいますけど、F3Aにはシフトアップできないけど気分だけはってタイプのスロープフリークさんの個人的な楽しみですしねえ・・・。

● 過去のF3A機をスケール化して、何とかフォルムを大きく崩さず高性能なスロープ機に出来ないものか・・・色々と試している内に完成したのが当工房オリジナルのワイルドボアシリーズ機です。今回は本丸に突入!・・・。ワイルドボアで培った数多くの飛行データを元に、この昭和の明記を無動力船用のガチスログライダーへと再設計します。ブルーエンジェルをフランス語で表記すると(Ange du vent =アンジュ・デュ・ヴァン・・・風の天使)ですので(Ange-ssg)と命名しました。

● スチレンペーパーを多用したのは其れなりの構造強化と軽量化が期待出来るからです。5mmのスチレンペーパーは、同じサイズの3mmのバルサ板よりも比重が軽いです。ただ・・・胴枠として使用するのなら厚みは3mm以上が接着範囲が広いので、胴体の硬性も向上します。よって比重が軽く其れなりの硬性もある5mmのスチレンペーパーを多用しています。平成のモデラーさんが多用しているスチレンですが、元々は昭和のF3A機の構造には当たり前に使われてきた発砲コアのバルサプランクなので、違和感は全くありません。むしろ胴体をコアから正確に削りだすよりも、構造体にした方が簡単なんですよねえ・・・。虫食いだらけの発砲コアとでも思って下さいね。
   
● 平尾台の北側斜面の吹上峠や南側斜面の大観台は、昭和50年代初期の頃はパラグライダーなんぞ居りませんでした。斜角45度近いスロープをグライダー一式を両手に持って、ヒーヒー言いながら登ってました。頂上からは行橋平野が一望できる大観台なので、スロープは麓までの障害物がありません。どんな飛行機でも飛んでしまう面白いサイトでした。そうなると考える事はただ一つ・・・。強烈な吹上風に載せるなら、エンジンだけを取っ払ってスピンナーだけを付けた元動力機・・・。ただし、完全対称翼が多いので強風を超える爆風コンデイションの時にしか飛べない機体も多かったです。

● 現在の平尾台の古株さん(オールサンデーズ)が、まだ30代の働き盛りだった時代に・・・この動力機改造のスロープスタントグライダーは栄華を極めました。その一大ブームは日本中で増殖し、大手のバルサキットメーカーが見逃す訳ありませんでした。次々とスロープスタント専用機をキットで発売して、平尾台はメーカーのスロープ機だらけに成りました。しかしながら・・・その後のスロープスタントは、もっとスピードの出るレーシンググライダーへと移行してしまい、令和の現在はキワモノ扱い・・・。隅っこに追いやられる始末です。そして未だに終息の見えないコロナウィルスの存在・・・。生活様式を変えないと感染したら最後、最悪死を迎える状況に・・・。そら模型業界も溜まったもんじゃないです。グランド飛行場では密になるのは当たり前ですので、あちこちでトラブル勃発!。日頃飛行場で集うメンバー同士で、いざこざの果てに分裂したり・・・。その点スロープサイトはまだ良い方でしょうなあ・・・。常に強風が吹き捲ってるので、密によるクラスターが起き難い・・・。その点がせめてもの救いでしょうね。

● 画像は本機のノーズコーンです。元々はサイドマウントのエンジンの先につけるスピンナーなんですけど、ブルー60とは機首先端の形状が若干違うので、既成のスピンナーが使えませんでした。其処で新たにバルサで作る事に・・・。スロープを問わずグライダーの先端には、バルサブロックを使ってノーズコーンを作りますので、まあ…私にとっては有り触れた工作です。何の違和感もありません・・・。
   
● バルサのスピンナー型のノーズコーンですので、強い衝撃があれば壊れます。ただ・・・通常飛行後の着陸で破損していては、その都度スペアと交換する羽目になるので、ある程度の強度も必要です。人に当てたら大怪我するじゃないですか!・・・って変てこりんな正義感のメールを貰った事もあるんですが、スロープサイトにおける安全な着陸とは、そのエリアを管理しているクラブが決めた着陸エリアに安全に下す事が前提・・・。パイロットの足元に降ろすのが、ベテランだ!って思いこんでるメールの主さんの方が怖い・・・。ハンドキャッチばっかりやってるからねえ・・・。其れが当たり前で格好良いと思ってる所がアウトです。着陸進入中で減速しているとはいえ、自重1,5キロの機体ですよ。お仲間さんの駐機エリアから離れた所に降ろすのが第一条件です。駐機エリアの中でのハンドキャッチは・・・自殺行為ですな!・・・。安全な着陸エリアって?・・・。決まってますがね!・・・斜面を少し下った毛足の長い草のエリアですよ。此処を河川敷グランドだと思って下さいね。自分の駐機エリアに飛行機を下すってことは、グランドならピット直前に着陸するって事でしょうが!。どれだけ危ない行為をしているのか解らんのかなあ・・・。着陸進入失敗しても、お仲間さんに当てれば機体は無j傷で回収!って言ってるようなモンだぜい!・・・。
   
● このスピンナー型ノーズコーンは高速回転には耐えられません。決して既製品のスピンナーと同じ扱いはしないで下さいね。必ず事故りますので・・・。基本的にはゼロ戦のスピンナーみたいな形状も作れますが、グローエンジンやモーターの高速回転に耐えられる構造ではありません。過去・・・ネット物知り博士さんが、この製作方法を使ってブラシレス搭載のゼロ戦のスピンナーを作ったみたいです・・・。ところが、助手さんの眼前に回転に耐えられずに破損した木材の破片が顔面を直撃!・・・。眉間に当たって切り傷を負いました。もし・・・眼球に当たれば最悪の事も考えなければならない・・・。バルサにフィルムを貼り込んだだけじゃ高速回転には耐えられませんよ。表面にマイクログラスを積層したって無理だろなあ・・・。そういう扱いはしないで下さいね。
   
● 加藤無線(MK)のF3Aのバルサキットを、大なり小なり組んだ事があるモデラーならお解りの筈・・・。機首周りってこんな感じでブロックを貼り込んで、思う存分カッターナイフで削り落とす構造・・・。少し削っては存分に眺めてにんまり・・・。自己満足の世界に存分に浸りながら更に削る進めて行く至福の時ですな。削ってるモデラーさんの頭の中では、もう機体が完成して華麗に飛んでいる筈です・・・。
   
● F3A機のノーズらしくなって来ましたねえ・・・。スピンナー後方の胴体下部の膨らみ・・・この内部に本来ならノーズストラットギヤのリトラクトが収まります。今回は此処のスペースには、一個50グラムの標準型デブサーボが3個埋め込まれ、エレボン仕様のスタビライザーとラダーに夫々リンケージされます。本来のF3Aならリトラクトの上には、350ミリリットルの燃料タンクが収まるんですけど・・・。無動力のガチスロなモンで・・・。
   
● 垂直尾翼は完全対称翼です。中芯のスチレン材の両面にスチレンリブを貼り込んでバルサでプランクしています。スチレン世代のファンフライ愛好家からクレームが来そうですなあ・・・。スチレンの中芯なんだから、EPPシートを貼れよ!もっと軽くなるのに・・・って聞こえて来そうですな!。クルクル系ヒラヒラ系のアクロなら其れでも良いでしょうなあ・・・。機首を真上に向けての・・・。しかし本機は無動力なので其れは不可!その代りに王道のスーパーアクロが出来る機体なので、其方のクルクル系が好みです。縦八の字・・・横八の字・・・4ポイントロールにスプリットSターン、垂直上昇ロールやらダブルインメルマンターン・・・ローリングサークルなんかも出来るぞ!。其の為にはバルサでコーティングして、フィルムを貼ろうか・・・それともシルクを貼ってウレタン鏡面仕上げにするか・・・今から楽しみですなあ・・・。重過ぎるのは良くないが・・・適度に重い機体の方がスピードは出るので、ある意味飛ばし易くなります。
   
● 通常のバルサキットとはプランクの仕方が異なる胴体です。複雑なアール面が混在する場合は、同枠毎にプランクシートを貼り込みます。この貼り方は自作のスケール機に多いんですが、沢山のストリング材(縦通材)を入れると問題は起き難いんですが・・・模型機の場合、入れるストリング材にも本数に限界が有るので、誰でも経験する問題点が露見します。其れは胴枠上のプランクシートを境にプランク面が波打ってしまう事です。アール面を含むと接着剤の硬化と共にプランク面が凹んでしまいます。

● こういう場合・・・バルサの生地完成状態からは細かい凹みが解らないので、フィルムを貼り込んだ後に気づく場合があります。此れって見た目がねえ・・・かっこ悪いですよ~・・・。特に飛ばさないけどピットに置いとけば、初心者だってバレないベテラン用の飛行機の場合・・・。せっかく大枚払って苦労して組み上げた大戦スケール機なのに・・・。こんな仕上がりじゃあ・・・初心者だってバレちゃうじゃないかああああ!・・・って頭を抱える事に成るでしょうなあ・・・。

● どうやったら凹みが目立たなくなるのか・・・。補助胴枠を沢山入れるのも一つの手・・・なんですが、プランクシートが凹んでいるのならプランクシートの継ぎ目を削って下げれば良いんですなあ・・・。そんな事したらプランクシートが薄くなって強度が落ちるじゃないかああああ!・・・。まあ・・・その嘆きにも一理ありますが、胴枠上の継ぎ目付近はアール面での強度を持っているので、プランクシートが薄くなっても被覆が丈夫なら強度は残します。むしろ凹んだ面が弱いので厚みは残した方が良いんですなあ・・・。海外の自作大好きのモデラーだって、同じ状態に直面したら・・・胴枠上のプランクシートの継ぎ目をサンドホルダーで削る方法を、画面いっぱいのサイズのイラストで紹介しています。機体のサイズが半端じゃない位デカいですけどね(笑)・・・。
  
● 機首側胴体下部のプランク状況です。本来60クラスのグローエンジンが搭載されて重心が合わせ易くなるノーズモーメントなのに、エンジンの代わりにラジメカを集中して詰め込んで重心を取ろうとする訳だから、遠慮も躊躇も要りません!。堂々とハード系の分厚いバルサをビシバシ貼り込みましょう。尚!本機の兄弟機にブラシレスモーターを搭載してグランド機に・・・を目論んだモデラーさんが大失敗しました(笑)・・・。毎分3万回転するブラシレスモーターを搭載したら、手投げ上昇中にノーズ付近がバラバラに分解・・・。そりゃそうでしょうなあ・・・。本機は無動力の設定・・・其れを無理やり動力機にするんだもの・・・スチレンのボックス構造だけで強度が持つはずが無いですよ。見た目の状況だけで判断しちゃうから失敗します。バラけない様にマイクログラスでも巻けば良かったのに、軽量化と称してオラライトでカバーリング・・・。此れじゃあ、ブラシレスモーターの振動に耐えられないでしょうなあ・・・。
  
● 加藤無線(MK)の60クラスグローのブルーエンジェルのキットを組まれたモデラーなら、何とまあ・・・複雑な組み方してんなあ・・・って思ってるでしょうねえ・・・。バルサキットを刻んで部品にしていた私自身も同じ事思ってます(笑)・・・。バルサキットのこの垂直尾翼下部の状況・・・糸鋸盤と昇降盤で複雑に加工されたワンピースのバルサブロックだけで作られていましたので・・・。でも本機は無動力のグライダー・・・軽量化しないとテールヘビー確定なんですよねえ・・・。だから泣く泣く、こんな複雑な構造に成りました。まるで合わせ木細工ですなあ・・・。でも・・・本機オリジナルバルサキットに比べたら、35%程度のバルサブロックで済んでます。
   
● ラダーを作ります。スチレン板を治具にしてバルサオンリーでラダーの構造体を完成させる手順です。スチレン材の小口に貼り込んだバルサ材には、幅2mmの溝を入れます。此れがスロットインの溝に成ります。このバルサ面にもう一枚バルサ棒材を接着すると、此れが前縁材と後縁材に成ります。中芯のスチレン材を取り付けるリブよりも少々広く切り取ります。リブ材を貼り込んだら、接着剤硬化後に残りのスチレン材も取り去れば正確に組まれたラダーの構造体の出来上がりです・・・。リブ組動翼なら全面使えますよ。
  
● 要らない部分を切り落とし・・・必要な部品を取り付ければ立派なバルサ組のラダーの完成です。此れ・・・ブルエンならばムクのテーパーバルサの前後二枚の張り合わせで完成します。後縁側はメディアムバルサ・・・前縁側はハードバルサ・・・頑丈と比較的軽量を両立させる高級バルサキットならではの構造でしたなあ・・・。まあ・・・スチレン素材のファンフライのモデラーには解らない世界でしょうなあ・・・。機体重量を軽くし過ぎたら座りが悪い・・・重くなり過ぎたら操縦レスポンスが悪い・・・。レギュレーションの範囲の中で、最高の性能を模索しながら設計し、コンテストフライヤー個々の要望通りの機体を作るカスタム屋さんの知識と技術は計り知れませんなあ・・・。私自身も生涯技術の鍛錬・・・他には無いかもしれませんなあ・・・。私はコンテストフライヤーではありませんが、アクロバットの基本である糸を引くような一定高度の直進飛行位は出来ますなあ・・・。左右往復の水平飛行位はねえ・・・。其れが出来なきゃ、自分の作った飛行機が正確に出来てるかどうかも解りませんしねえ・・・。F3Aの演技の基本は演技開始前と演技後の水平飛行にあるからです。此れが何時も一定の高度で同軸通過なら、ジャッジメントの印象はAランクなので高得点が貰えるんですよねえ・・・。
   
● 当工房の多くの飛行機は、胴体の内部構造体が複雑な為、リンケージの後入れが出来ません。先に取り付ける為に開口部の取れない胴体後部は、リンケージの先入れをしないとプランクも出来ません。画像はテトラの(PAフレキ)です。OK模型からも同種のモノがありますが、此方のフレキシブルロッドは長さが1メートル以上有るので、大型グライダーのリンケージにも大活躍しています。OK模型同様に、内部は星形のインナーパイプですが、材質が違うのでねじ込むねじ切りロッドアジャスターも1,7mmが最大寸法です。OK模型のフレキの場合は2mmビスでも良いんですけどね。
   
● 画像は水平尾翼本体の取り付け角を変更する機構を組み込んでいます。構造のネタ元なんですが、過去加藤無線勤在職中に秋葉洋一郎氏の機体(確かコスモスだったかな?)をライセンス生産する際に、秋葉氏の要望で取り入れた機能だった気がします。金属パーツの組み立て工程でアルミパイプとインジェクション成形品を使って組み立てた記憶があります。確か・・・オプションパーツだったので、キットに入れたかどうかまでの記憶はありません。ただ・・・他の60クラスのスタント機のキットならどの機種にも取り付けられる仕様だったような感じでしたね。当時はまだカーボンが一般的ではありませんので入手は不可能でした。あれから30年余り経過して・・・カーボンが当たり前になったので、昔を思い出しつつ自作してみました。
   
● 頭がヘックスのインサート型レンチを差し込んで回すと、可動体が上下してガイドシャフトを動かします。水平尾翼にシャフト受けのパイプが埋め込んでありますので。後部の太いシャフトを軸に水平尾翼自体が上下に動き、取り付け角を変更します。この機能は本機の場合・・・まだ試作の段階なので、主翼と水平尾翼の位置関係が微妙な状態です。よって水平尾翼の取り付け角が決まれば、次回からは主翼はワンピースに戻せる訳です。本機の主翼は左右分けのツーピースですが、此れは色んな翼型の主翼と交換できるようにしました。翼型によっては水平尾翼の取り付け角が変わるからです。
   
● キャノピーの木型を作ります。まずは寸法取り・・・。原寸図面やコクピットの現物合わせやら・・・木型を作る情報は、あらゆる所にありますよ。必ず原寸図面から作図しないと、プロっぽく見えない!って誰が言ってんだろう・・・。見栄なんぞキットの端材の入った箱に仕舞って、目の前の情報に飛びつけば良いんですよ。プロっぽく振舞うのは木型が完成してからだって出来るじゃないですか。まずは・・・目の前の一機分と格闘すれば良いんですから・・・。多分・・・ブログは持ってないけど、同じ事やってる実践派のモデラーさんは、沢山居るんじゃないでしょうか。
   
● 真空成型を使う木型は、硬ければ硬いほど良いですよ。今回使ったのはスーパーハードバルサです。木村バルサに注文するときは、木型に使うと明記しておけば、このスーパーハードバルサが送られてきます。硬いって事は糸鋸盤でも手強い材質です。硬いので其れなりの丈夫な鋸刃を使って下さいね。急がず時間を掛けてゆっくり切り出しましょう。切り口が奇麗なので後処理が楽に成ります。切り抜いた不要な部分も大切に残して下さいね。木型は側面のアールだけ切り抜ければ良いんじゃないんですよ。今度は両面テープを使って、不要な部分も貼り込んで直方体の形に戻します。
   
● 直方体に戻したら、上記で作った透明のテンプレートを使って、上面図から見たアール面をトレースして切り抜いていきます。すると画像の様な複雑なブロックが出来ます。此れを左右接着するんですが、この時にブロックの間に側面形に切り抜いた2mmのベニヤを挟み、小口をマジックで塗り潰してからブロックと一緒にエポキシで接着します。実は・・・大手のメーカーにバキュームを頼むと、必ず言われるんですけど・・・このベニヤは挟むな!って言われます。目止めの溶剤の塗布の時に中々埋まらないからです。しかし・・・ネット普及と共に、初心者さんでも見様見真似で木型を作っちゃう時代に成りました。基準が無いと削り過ぎて大失敗!・・・説明が甘い!って頓珍漢なメールが来たりするんですなあ・・・。一回の削りでキャノピーの木型が正確に作れる訳無いじゃないですか!・・・。中華のフィルム張り完成機ばっかり作ってるから、何でも簡単に作れる!って誤解してるんじゃないかなあ・・・。
貼り合わせる時に圧着したい場合は、側面側の不要な部分ももう一度両面テープで貼り込んで、平行の状態に戻すと圧着し易く成ります。
   
● 一発で奇麗な木型が正確に削れるって世界でも無いんですよ。コクピットに何度も載せて削り具合を確かめて、最終的に正式な真空成型用の木型に仕上げます。でも・・・プロさんはこんな邪道は使いません。自分のブログでプロっぽい所を見せるなら・・・(kinnsann)みたいな木型の一刀彫をやらなきゃねえ・・・。逆アールのゲージを使って何度も調整して作るのがプロっすよ!・・・。私のは初心者用・・・。まずは目の前の一機分だから、此れでも良いんですなあ・・・。
  
● このバルサの木型の高さはまだキャノピーの必要寸法です。この下に捨てる切り代分を作らないと、必要寸法のキャノピーの成型品は採れないんです。仮になにも貼らなかった場合・・・吸着が甘くて木型の底が大きくアール上になった場合、アールを避けて切り出すと高さの寸法が足らなくなるんですなあ・・・。だから吸着が甘くなっても良い様に、切り代分を嵩上げするんです。
  
● 此のままポリ樹脂でコーティングしても良いんですが、このバルサの木型の底部分と嵩上げのベニヤとの隙間は中々埋まりません。ポリ樹脂の溶剤は硬化が始まるまでは水溶液ですから、コップの横倒しと同じ状態です。中身がこぼれて当たり前・・・。よって何時もの二液練り練りのエポキシ接着剤を詰め込みます。この練り練りのエポキシは、硬化すると容積が減りますので、二回は塗り込む必要があります。無理やり面一にするよりも・・・盛り付けて土手にする方が良いですよ。硬化の度合いにも寄りますが、カッターナイフで削り落とす硬化具合も存在していますので・・・。(Part-2に続く)