Frosh-MT (半対称翼型の走るラダー機) 製造元(オーギセイルプレーン) Part-1 (2) (3) (4)

※ オーギセイルプレーンの岡本氏が設計したフロッシュ・シリーズのT型尾翼ソアラーです。前身のレギュラー尾翼型のパーツを多用して設計された、あまり数は出ていないと思われるマイナーな機種です。初期型のバルサキットで発売されたフロッシュ初号機は、三浦半島城ケ島のスロープ大会で優勝した高性能な機体です。この優勝機のオペレーターは何と当時の中学生・・・。キットは自分で組み立てて、初飛行も自分で行い練習を重ねて大会に挑み・・・自分の技量で優勝を勝ち取ったのだそう・・・。並みいる大人を出し抜く技術の集大成もさる事ながら・・・むしろ大人は彼の模型に対する情熱を再認識する必要がある様に思いますなあ・・・。

   
● このフロッシュMT型は、昭和50年代初期に発売されました。私が二十歳に成るか成らないか位の時期だったと思います。阿蘇の大御所宅へ飛行機の納品に出向いた折、お土産に貰ってきた品物です。大御所曰く・・・ラジコンブームに乗じて増えた俄かモデラーに渡しても、ネットオークションに出されて現金化されるのが落ちだし、其れに高値が付いた場合・・・更に要求されるからだそうです。流行の便乗組ってモデラーは、一回でも美味しい味を占めたら・・・再びクレクレ本願が始まるのだそう・・・。昭和の名機ですもんねえ・・・。現在の年配モデラーなら、作りたくても順番待ちで中々手に入れる事が出来なかったグライダーですし・・・。プライベートワークスのグライダーは高性能なんですが、ひとり親方なので数が作れない・・・。よって手に出来るモデラーも少なかったんですなあ・・・。よって、昭和の時代からの気心知れたモデラーにしか渡さないんだそう・・・。一度でも味を占めた便乗組は、お金に成るんだもの・・・ゴマスリ行為の後は、どんどんエスカレートしてきて最後は脅迫染みて来るんだそう・・・。ラジコンブームの度に必ず出て来る困ったさんですねえ・・・。

● 本機の胴体はグラス製・・・。ウレタン塗装で仕上げてあります。ところが、製造されたのが昭和50年代初期なので、木部品もプラ部品も経年変化でぐっちゃぐちゃの状態です。グラス胴体にしたって、皮膚がひきつるみたいに胴体と一体になったグラス製のハリボテ状態の垂直尾翼が右に傾いています。レギュラー尾翼なら何とか誤魔化しも利きそうなんですが、T型尾翼なので、傾きがモロに露見してしまいます。此処は大改修に成りそうな予感ですなあ・・・。便乗組には、昭和の化石の経年変化なんか見抜けませんしねえ・・・オークションに出品してお金に変わるのが目的・・・落札した昭和の偉人たちが馬鹿を見る図式・・・。オークションに出すなら、キット一式リニューアルしてから出せ!って言いたいですなあ。キャノピーは塩化ビニール製なので、もう!・・・ぐにゃぐにゃですなあ・・・。此処は一念発起!・・・木型を作ってキャノピーを新調しましょう・・・。歪んだキャノピーはど真ん中からぶった切って、アールゲージとして再利用・・・。大事な資料です。
   
● グライダーのキャノピーが割れちゃった・・・。キャノピーが無いからって諦める必要は無いです!。面倒臭いけど・・・根性さえあれば修復は可能・・・。目の前にデータは転がってるじゃないですか!其れを上手に利用すれば良いのですよ。コクピットの幅も、胴枠の形状も、キャノピー全体のアール状態までもが全部解ってるんだもの・・・。全部此れを真似ろ!って言ってる訳じゃない・・・。私だって先人の知恵の応用に過ぎません。こうした方が自分にとって一番やり易い方法を見つければ良いんですなあ・・・。何も他人と違うからって、馬鹿にされるかもしれない・・・なんて臆病風に吹かれる方が可笑しいですよ。「そんなのダメ!。正式にはこうした方が良い!・・・。」なんてアドバイスは、他人の知識の丸写し・・・自分で実践してない証拠でもある・・・。脳内判断と結論程・・・好い加減ですし、実践してからの判断なら、「そんなのダメ!・・・。」って言葉は出て来ません。

   
● 木型を作る際の注意点ですが、なるべく硬いバルサを使いましょう。ネットブログの(kinnsann)みたいに、バルサ以外の堅木を特殊工具で削り出して成型する方法もありますが、一般のモデラーさんに同じ設備を準備できる人は、ホンの少数でしょう・・・。大多数のモデラーは、自分だけの工作室を持ってる人の方が少ないので、其れに見合う工作方法で木型を作ります。バルサの入手先として、私は木村バルサを使いますが、昨今の電動ラジコンの普及で・・・ソフト系メディアム材の比較的軽量なバルサは重宝されるので何時も品薄状態です。ところがハード系メディアムと、まんまハードバルサ・・・そしてラワンみたいに硬いスーパーハードバルサは、かなりの頻度で在庫が溜まるので、比較的入手し易い様です。

● 真空成型用のバルサの木型を作る場合は、電熱器で高熱になったプラスチックのシートを被せて空気を抜いて木型に密着させるので、木型自体にも高熱が伝わります。柔らかいバルサだと収縮してしまうので、実の詰まった硬いハード系のバルサを使います。その方が収縮し難いからです。画像の材質はスーパーハードバルサの厚さ40mmの定尺材です。幅が80mm・長さが900mmの至って普通の定尺材ですよ。ただし・・・値段も厚みが有る分高価だと思って下さいね。しかし・・・スーパーハードなので、ラワンみたいに硬いんですけど、ラワン材よりも削り込みは楽です。大きめのカッターナイフで普通に削り出せますし・・・。画像ではホームセンターでも購入できるレベルの糸鋸盤で切り出した木型の部品です。キャノピーに成るのは真ん中部分のみ・・・。両端はキャノピー寸法の木型を削り出した後、本来の真空成型用の木型にする為の部品となります。
   
● 定尺材から木型の部品を切り出すと、必ず端材が出て来ます。画像では省略しましたが、端材を両面テープ等で貼り戻して直方体に戻した方が、別のアール面の切り出しは楽に成ります。その方法は(Komet)(Ange-SSG)のキャノピー成型の項に記載していますので、其方を参照して下さいね。切り出した木型の材料は、コクピットに両面テープ等で貼り込んで、確かめながら少しずつ削るか・・・木型自体を手に持って何度もコクピットに乗せながら、少しずつ削るか・・・方法は色々とありますので、自分のやり易い方法を見つけて下さい。
   
● コクピットに合わせたキャノピーの木型に成ったら・・・今度は本来の真空成型用の木型に戻します。先に切り出しておいた木型の前後の部材も貼り込んで、キャノピーのラインに沿って削り出して行きます。削り終わった形状が真空成型用の木型の原型です。画像から見て底と成る寸法が広い形状で作るのが、一発成形の基本です。画像の底板二枚は成型後のシートの切り代に成る部分です。別の目的は、木型の底を丈夫にして・・・吸引する際の強力な圧着で、木型の底が潰れない様にする為です。吸引の際・・・木型の底の内側までシートが入り込むと、成型後のシートから木型が外せなくなる場合もあるからです。

● キャノピーの形状を有する木型とは、底と成る面が一番広い面積にしなければなりません。別の言い方ならば・・・ピラミッドの形状は一発成形が出来ますが、スフィンクスは一発成形が出来ません。其れは形状を見れば一目瞭然・・・。ピラミッドは一番底の面積が一番広いです。スフィンクスは底板よりも頭を含む背中の方が広いので、木型が外れなくなります。スフィンクスのあごの部分から喉元を経由して、前足部分までは逆アールの形状・・・シートが回り込んだら身体はシートから抜けるかもしれませんが、頭が抜けなくなります。スフィンクスの成型には、少なくとも木型が三種類から5種類は必要でしょうなあ・・・。サーマル工房のミニモアのキャノピーって何個に分割して成型されてましたか(笑)?・・・。
   
● 過去の質問メールなんですが・・・一時間で出来るバキューム用のキャノピー木型の作り方を教えて下さい・・・。???・・・私には出来ませんと答えました(笑)・・・。木型を作るのに掛かる作業時間は、少なくとも三日は掛かります。木型一個はその機種専用って訳でもないし・・・お仲間掲示板のネタとしての一過性のお褒め言葉欲しさの為のモノでもない・・・持ってれば、あれ?・・・あの木型は、今設計中の機体に使えないかな?ってなれば、古い図面を元に新しい機体のコクピット部分の寸法を算出・・・見事ピッタリ使える木型に出来たりします。後はどんな形状で切り出すのか・・・。全然違うデザインの飛行機なんですが、実はキャノピーは共通で~す!・・・なんて、言わなきゃ誰も気づきませんしね・・・。
   
● 四国のフライトホビーに木型を送ってバキュームを依頼したんですが・・・。若干引きが甘いですなあ・・・。切り代ラインの上から外アールが始まっているので、ハッキリ言えば・・・このキャノピーは試し打ちのレベル・・・。本当に社長の油谷氏が作ったのかと疑いたくなるほどなんですが・・・。本来なら切り代ライン上の外アールで収めてほしかったですなあ・・・。此れでも¥3000なので、試し打ちを含むってお願いすれば、最低でも1万円は掛かるって事ですかねえ・・・。結局・・・コクピットの嵩を上げて対処するしか方法が在りませんなあ・・・。製作代行品じゃなくて良かったなあ・・・って思いました。
   
● 若干・・・違和感は残りますが、贅沢は言えませんなあ・・・。何とか早く中古でも良いから、真空成型器を購入するか・・・自分で作るかしないとですなあ・・・。自分が納得できるキャノピーは作れませんなあ・・・。其れっぽくのレベルでも良いんですが、多分・・・プライベートワークスを目指すモデラー諸氏は多いかと思いますが、何時もキャノピー成型で進行が止まるんですよねえ・・・。透明のキャノピー付きのキットの方が人気がありますしねえ・・・。このキャノピーを外注で量産すると、多分キット価格が¥5000位跳ね上がる・・・。幾らバルサのコストを下げても、必ずキャノピーの外注量産の見積もりで悩むんですよねえ・・・。問題はその先にもあります。お客様からキャノピー単体の注文が入った場合・・・此れは困ったぞおおおお・・・。キャノピー単品が大手メーカーの数倍のコストで作られていた場合、キャノピー単品の場合は大赤字に成るでしょう?・・・。だったら自分で成型器を購入して作れば良いと思うじゃないですか!。ところが木型を作った事も無い・・・まして、真空成型なんかやった事も無かったら、此処だけで大赤字確定ですもんね・・・。   
● この胴体の垂直尾翼の傾き・・・製造した初期では無いんです。このフロッシュの製作者である岡本氏が、何処かの中華の職人みたいに不良品を良品にしちゃった訳でも無いんですなあ・・・。此れはグラスファイバーの経年変化です。何処にどういう環境で保管したかにも寄って、こういう不具合が出てしまいます。オークションの出品者にも良し悪しで、こういった不具合を隠して出品・・・落札した側から文句を言われるのは解ってますので、最初からノークレームで!・・・って言葉を付ける。こういった不具合に気づけない出品者の場合の方が、もっと悲惨な状況に成ったりしますなあ・・・。頂き物の横流しなんだから、内容の検品なんか出来る能力がありません。購入者からの指摘を、悪質なクレームと勘違いして泥沼化します・・・。「そんな不具合・・・当方は知りません!・・・謂れのないクレームには、法的処置を適用させます!・・・。」で、購入者を黙らせる結果は見え見えですなあ・・・。

● まあ・・・私の場合は自分で修正出来ますので、オークションサイトみたいなドロドロの世界は関わりません。胴体と一体になった垂直尾翼が傾いている昭和の化石に出会ったら、迷わず根元からぶった切る事をお勧めします。垂直尾翼の後縁側は開いてる場合が多いので、中身を良く調べて切断する位置を決めましょう・・・。決まったらためらわずに切断!・・・。昭和のジェダイマスター程、自分の出会った模型とは意思の疎通の出来る仙人様が多いですなあ・・・。大手術の場合・・・模型機が痛がって悲鳴を上げない様な最新の手術をされるようです。手持ちのノコギリでゴリゴリやってると、大きな悲鳴が聞こえるでしょう!・・・小さい穴を一杯開けた方が、ガラスの繊維が飛び散らなくて良いですよ。下手に散乱すると、作業者自身が痒みに襲われますし・・・。
   
● ぶった切ったら中身が良く見えます・・・。さて、どういう風に修理をするのかしばし考察・・・。決まったら間髪入れずに作業を進めて、余計なひずみが出てくる前に拘束する所は全て塞いでしまいましょう。ぶった切った垂直尾翼も大事な資料です。此処から複製の為の重要な情報は沢山残っています。充分活用しましょう。直接採寸して図面を引けば、その後の段取りは全て原寸図面の中にあります。何を作って・・・どういう構造に組んで・・・どう取り付けるのか・・・。この時に垂直尾翼の傾きの修正も同時に出来ますし・・・。
   
● このT型尾翼のリンケージなんですが、何時も悩むのがフライングスタビライザー型の場合のガタの問題・・・。水平安定板を固定して、エレベータだけを操作する場合のリンケージのガタよりも、このフライングタイプのガタはかなりシビアに成ります。リンケージが甘くガタが大きいと、スピードが出れば出るほどフラッターが発生し易くなり破損する危険性が大きくなるんです。其れを最小限のリンケージのガタ(サーボギヤの噛み合いの軽微なガタ)レベルの抑えるなら、迷わずテグスワイヤーの両引きにすれば良いのです。構造は複雑に成るんですがねえ・・・。本機は半対称翼型のラダー設定機であるが故、スロープならばかなりのスピードで飛び回る機体です。よって軽量HLGみたいにフワフワとは飛びません。ガツン系の走る飛び方をするでしょうなあ・・・。よって、作りも飛びも初心者入門機ではありません。ネット上のお仲間掲示板で見せびらかせば、誰も初心者が落札した遺物のキットだとは思いません・・・。でも、御山で投げたら最後・・・初心者には酷な飛びなので、今度はお仲間さんたちが愛機を担いで逃げ回る事に成るかも・・・。
   
● 新たにバルサで作った垂直尾翼は僅か11グラム・・・。10円玉一個分と軽量に成りました。まあ・・・色々とお化粧するので、もちっと重くは成るでしょうけどね。垂直尾翼先端の長孔の前後に見えるのが、両引きリンケージ用のパイプです。ガルモデルの一条氏の考え方なんですが、T型尾翼の垂直尾翼は胴体の一部なので、ある程度は頑丈に作らなければ成らないと、氏の書籍には記載してあります。よって・・・レギュラー尾翼として作られたバルサキットの、垂直尾翼の上に水平尾翼を載せても・・・必要強度が不足しているので改造するのは難しい・・・。因みに・・・レギュラー尾翼の水平尾翼だけを使って、V尾翼に改造しても・・・今度は尾翼面積が足らないので改造するだけ無駄って事に成るんですなあ・・・。

● レギュラー尾翼の飛行機をV尾翼に改造する場合は、まったく新しい尾翼を作らないと成りません・・・。詳しくは何れ別の項で紹介しますけど、垂直尾翼と水平尾翼のデータが原寸図に有るのなら作図は誰でも出来ますよ。ただし・・・考えられない位の大きな面積に成るので、キット付属の尾翼の部品では強度不足に成るでしょう・・・。待てない人は、ブログ上のラジ絶さん・番長さん・ロッキーさん・ニンバスさん辺りにメールで聞けば、教えてくれますよ。
   
● 全長は50mm余りの小さな部品何ですが、此れがフライングスタビライザーを支える可動軸の台座と成ります。外側はバルサですけど、内側にはカバの2mmベニヤを積層してあります。更に・・・この軸孔には外径4mm・内径3mmの真鍮パイプが埋め込まれます。さて・・・フライングスタビライザーはどうやって固定するのか・・・。まあ、呆れるくらいの面倒臭い複雑な構造を作って組み込みますけど、鼻で笑った人には理解不能かなあ・・・。ところが昭和の遺物に手を焼いてる人と、T型尾翼のフライングスタビの機構に悩んでる人には朗報でしょうなあ・・・。複雑な構造だけど、多分作れる人には直ぐ解る構造ですよ。
   
● 可動体のユニット部分と左右分割のフライングスタビに組み込まれるカンザシ部分のリブのクリアランスを含めて、同時に作っています。リブのベニヤの補強なんてキットの指示に無いんですけどね。フロッシュのM型(レギュラー尾翼)の飛行を、過去、平尾台で見た事が有るんですよ。現在のオールサンデーズの古株さん達が、まだまだ現役の30代の時代に・・・。当時の私は19歳・・・。宙返りの最中に、フライングスタビが片方ポキリと折れました。回収した機体の折れた水平尾翼ですけど、明らかに強度不足・・・。40年以上前の記憶ですけどね・・・。よって個人的な改造レベルの補強です。
   
● カンザシが固定してある可動軸のユニットなんですが、バルサのリブに四角い孔を開けて、ベニヤ二枚分の厚みを確保しました・・・。要するに、この可動ユニットは両側からビスで固定されているんですが、ベニヤの二層部分にねじ山を切ってビスを両側から締め込むと、此れがピンの代わりと成るんです・・・。よってビスを支点に可動体がピッチ軸に動きます。ご存じの方も多いと思いますが、3mmのパイプの孔に3mmのビスを差し込んだらガタが出ますよね。其のガタを減らす為にテグスワイヤーで両引きするんですよ。この構造にたどり着いたのも経験値・・・。シングルローターのヘリコプターを長年飛ばしてりゃ・・・リンケージのガタが如何に危険か身に染みてますからね。その経験値は、色んな模型に活かす事が出来るんですなあ・・・。
   
● さて・・・本機の様な昭和の化石みたいなグラス胴体のグライダー・・・初心者さんが飛び付きそうな要素を散りばめた、とんでもない内容だったりするんですなあ・・・。この図面を見る限り、部品点数も少なく初心者にも簡単に組めちゃう!・・・って勘違いしますし、この飛行機を持ってたら飛行場では絶対に初心者だって馬鹿にされない!って勘違いして、さあ!組み立てるぞ!って段階でフリーズします。「え?・・・どうやったら組めるの?・・・。」って具合(笑)・・・。見た目・・・とても簡単そうに見えるでしょ?・・・でも、昭和のグラス胴体の外側って出来は最高なんですけど、その内側って奴は・・・額面通りじゃ無いのが普通なので、当然なんですが当時も初心者には組めませんでした。
   
● 当時のグラス製胴体の中身の寸法は、必ずしも原寸図面みたいに一定の厚みで仕上がってるとは限りませんでした。其れを確認できる所って、画像のコクピット側しか無かったんだけど・・・此れが懐中電灯で照らしたってその厚み自体も把握できない訳ですよ。初心者なんだもの・・・作るの初めてなんだし・・・。結局の所・・・図面を見て、一発で理解しなきゃいけないんですけどね?・・・、キット付属の部品であるカンザシ補強の為の溝切の堅木の取り付け・・・コクピット側から入れるにはこの図面通りの寸法では絶対入らないんですなあ・・・。内寸ピッタリの空間に、内寸ピッタリの溝切堅木を収める場合は、対角線上に斜めに差し込まないと胴体の内寸には収まらない訳でして・・・。其の為には、このグラス胴体の内寸は原寸図面通りでないと絶対に取り付けられないんですよねえ・・・。でも、其れを確認できるのはこのコクピット側しか確認できないんですなあ・・・。

● 此れは初心者さんには地獄でしょうなあ・・・。多分・・・当時はベテランでも手こずる構造ですしねえ・・・。だからって訳でも無いんですけど・・・当時は舶来のキット、代表格はドイツのグラウプナー社のグライダーキットの方が人気が有ったんですよねえ・・・。何故ならグラス胴体の積層具合ってのが、部分部分で変えてあったので・・・胴体内部が外側から透けて見えてたって所でしょうか・・・。要するに完全モノコックがグラス胴体の売りなんですが、組立て易い様に内部を透けさせて、内部補強構造を充実させた方が作るのが楽だからですなあ・・・。だからオーギのキットよりも、このドイツ製の舶来グライダーの方が人気があったんですなあ・・・。塗装設備の殆ど無い日本の個人モデラーさん向けには、グラス製胴体は塗装済みの方が良いだろうという販売元の親切心が・・・数万年後?の化石発掘した初心者モデラーには理解不能だった・・・ってだけなんでしょうけどね。
   
● 開けてビックリ玉手箱・・・。こういった極端なアールの集合体面に、大きな抜き孔を作ると形が崩れるうううう!って心配してる方・・・。グラス胴体の抜き孔を作る場所は、選べば良いんですよ。内部が覗ける様にすれば・・・。さあ!キット付属の原寸図面と、実際の胴体内部・・・寸法もグラスの積層具合も・・・大きく違ってましたなあ・・・。まあ・・・ね!。この位の積層が無いと、カンザシをガッチリ固定なんか出来ませんしねえ・・・。でも!・・・逆の言い方をするならば、此れだけゴッツイ胴体内部の積層度合いなんだもの、カンザシの固定には充分過ぎる構造と言えますなあ・・・。左右分割の主翼をしっかりと支えるには、此れくらいの構造は必要かと・・・。最初から抜く事を前提の構造と指示にして有れば良いのになあ・・・とさえ思える状況なんですもの・・・。昭和を知らない平成のモデラーさんには、ちと酷かも知れませんけど、君たちの入門用ラジコン機の第一弾!としては、相応しくない部類の飛行機キットでしょうなあ・・・。
   
● 原寸図面の額面通りの形状では取り付けられませんなあ(笑)・・・。サービスハッチをぶち抜いて解る真実も有る・・・。このクラスの左右二分割主翼を有するグライダーキットが、どんどん廃れて行ったのは、実は此れが原因かも知れませんなあ・・・。だったら真空成型のABS胴体の方が内部寸法はある程度決まるので、内部構造さえ木部罪でしっかりと組んでやればその方が組み立て易くは成るんですなあ・・・。最近のグライダーって、二分割主翼構造でもショルダータイプが多いのは其れが理由かも知れませんなあ・・・。主翼を先にカンザシで結合してから、大きく開いた胴体の上部に合体させる構造の方が、作り易いですもんね。まあ・・・スケール重視で作るなら、カンザシユニットを胴体から分離して独立させれば良いんですけどね・・・。海外のスケールグライダーのキットなんか、そういう構造してますし・・・当工房のカスタムグライダーでは参考にしてますし・・・。
   
● 胴体内部のカンザシ固定には、モデラーさん自身の色んな工作法が有ろうかと思いますが・・・、私の場合は何時もこの手順です。キットを組む時も・・・自作機を作る時も・・・カンザシ受けの木部構造を先に組んで、其れを胴体と合体させて胴体内部のカンザシの位置を決定します。まあ・・・短いスパンじゃ、左右の取り付け角が狂うかもしれないのに、先に主翼を完成させてから、広い所で機体を固定して・・・って、どこぞのブログの主さんは記載してましたが・・・。モデラー全員が潤沢な資金と大広間みたいな工作室なんぞ、ある訳ないでしょ?・・・。だったら頭を使わないとねえ・・・。
   
● カンザシの固定が済んだら、今度はぶち抜いた胴体上部のパネルを埋め戻す工作です。せっかくぶち抜いたんだもの・・・ハッチには小窓を開けて、新たな機能を加えつつ・・・このデカいハッチは胴体側に接着せねばなりません。別に・・・サーボの搭載位置は図面に指示してあるので、先にサーボを搭載して胴体内部のリンケージを済ませておくのも一つの方法ではありますなあ・・・。私の場合は別に塞いだって問題はありません。何故なら・・・エレベータもラダーもテグスワイヤーによる両引きのリンケージですしね。細いパイプに細いピアノ線を通したロッドなら、ここ等辺で一か所ぐらいは固定しとかないとねえ・・・。本機が販売された当初のリンケージは、バルサの丸棒の前後にロッドアジャスターを取り付けた、棒材リンケージが当たり前の時代でしたので、まあ・・・言い換えれば、胴体内部に胴枠が無いのでバルサのロッド棒との緩衝物が無い構造とも言えます。
   
● 当工房の二分割翼の胴体内部の結合には、輪ゴムもスプリングも使いません。よって専用の結合用のハッチが必要なんですなあ・・・。大観峰で此れを使い出したら、自作モデラーさん達の多くが同じ方法で主翼を結合してます。別にテンション掛けて胴体側に主翼を密着出来れば良いんですよねえ・・・。ただ、ゴムやスプリングだと、テンションが弱くなると・・・飛行中に胴体と主翼の間に隙間が出てしまう事が有って・・・其れが原因で、主翼の左右のバランス(隙間が開くとスパンが延びる)が崩れます。やけに左癖が酷くなったなあ・・・って操縦中に気づいたら、左の主翼と胴体の間に隙間が出て・・・左の主翼が右の主翼よりも伸びた状態なので、機体が左に傾くんですなあ・・・。此れが酷くなると操縦不能の危険性も起こるんですなあ・・・。だから、其れを防止する為の機能と構造です。
   
● 主翼の翼弦方向の中央部に堅木のブロックが接着してありますが、此処には主翼結合用のヒートンをねじ込みます。此れが胴体のフィレット面のUFOみたいな形状の孔に入ります。当工房の主翼結合にはタイラップバンドを使うので、この左右に広いハッチが必要なんですなあ・・・。タイラップバンドは、配線等を束ねるには便利なんですが、こういう箇所にも充分使えます。使うサイズを限定すれば良いんですよ。ある程度細いタイプなら、飛行中の主翼の抜け止めにも充分耐えますし、着陸の衝撃が強かった場合はバンドの詰めが折れて、荷重を逃がします。¥100ショップでも50~80本の単位で購入できますので、ある意味飛行毎に付け替えれば良いんです。其れで安全が約束されるならば・・・。(Part-2に続く)