✈ Me-163b Komet (内部スチレン構造体)  Part-1 (2) (3)

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※ 平成時代のラジコンブーム・・・スチレン板使用の小型ラジコン機が目立って来ました。まあ・・・其れが、多くの新規ラジコン入門者を生み出した結果とも言えるんですが・・・。其れが当たり前に成ると、彼らの言い分はバルサキットなんか過去の遺物扱い・・・。スチレン機が新世紀に相応しい!と・・・。ハイパー電動推力装置とラジコンメカの小型化に伴い、その増殖スピードは大手のメーカーも追いつけない状況でしたね。

※ ただ・・・その作り方ってのが、ネットの個人ページやらブログの教祖様達が、どんどん手抜き飛行機を作るモンだから、信者さん達は教祖様に気に入られる様に、更に手抜き飛行機の提案・・・。結局の所、お仲間飛行会では空中分解からの物損事故やら人身事故・・・。おまけに対人・対物の自賠責ラジコン保険未加入者が続出したのも、その後のラジコン業界の粛清に繋がって行くんですが・・・。今の法律・・・加害者から満足な慰謝料が請求できない場合、その機体を販売した側にも加害の一端を担えとの法律も有りますしねえ・・・。其処までの事、全く無視して俄かメーカー作ってネット販売していた便乗モデラーさん達・・・。ブームが去るとお店をたたんで居なく成っちゃいましたねえ・・・。

※ 本機はこのスチレン板を内部構造体に使った無動力のスロープ専用機です。胴体が丸いので、機首先端にモーターを搭載すればグランドでも飛ばせるんですけど・・・。今までに10機ほど製作してオーナーさんに渡しましたが、モーター搭載グランド仕様にしたオーナーさんは一人も居ません。むしろ・・・強風域のスロープサイトにおいて、レーシングのベテラン以外は投げないだろう状況下でも、レーシングを凌ぐスピードでかッ飛ぶ飛翔体です。多分・・・このスピードに勝る位の推力ユニットを搭載出来る程のスペースは本機にはありません。仮に胴体を破ってハイパーバッテリー搭載を目論むと、内部構造体を破るには大手術に成り・・・今度は元の姿に戻せなく成るからです。

● 構造体は複雑に見えますが、プラモデルを購入して全体を観ながら実機の三面図と照らし合わせると、実に簡単な構造をしています。ただ・・・実機自体が直線面が殆ど無い曲線だらけのフォルムなので、凝れば凝る程作り難く成る機体です。実機のコメートの主翼は、胴体と主翼を繋ぐ逆アールのフィレットパネルを外せば、胴体の強化胴枠にボルトで圧着されているだけです。模型機の場合は、短いけど強固なカンザシで左右二分割の主翼を保持する構造です。内部がスチレンの構造体なので、胴体側面はカンザシを強固に保持する為の実機と同じ逆アールのフィレットが必要に成りました。本機のフィレットは艤装では無いんです。必要な構造物ですので省かない様にしましょう。面倒臭い造りですけど・・・何事も熟練・・・。此れが当たり前に成ると、必要枠なので無いと自分が納得出来なく成るんですよ(笑)・・・。最初は難しいと思いますが、一度作れば二回目は然程難しく無く成るでしょう。
          
● 内の牧温泉を眼下に望む大観峰展望所西斜面をかっ飛ぶ(Komet-SSG)です。元々がロケット戦闘機なので、機首インテークがありません。よって最もスロープスタントグライダーにし易い機種だと思います。デザイン的にはプッシャー式にすれば、動力搭載も可能でしょうけど、大観峰ではリポ・バッテリー搭載の機体をクラブ役員諸氏が好みません。墜落により機体発火が起きた場合・・・其れが即回収が出来ない程遠方の場合、年がら年中の野焼きへと発展してしまうからです。

● 最近・・・NHK教育(Eテレ)のサイエンスゼロの番組で、全固体型リチウムバッテリーの開発模様が放送されました。現在の出来具合は7割程度・・・。現在のリチウム電池は水溶液をポリマー樹脂に染み込ませたタイプなので、衝撃や充電中の高温に耐えられず、規定以外の扱いをすると発火し易いデメリットが有るんです。

● 一方!・・・開発中の全固体型リチウム電池は、充電物質本体が個体の為・・・ポリマー樹脂の安全温度が60度に対し、1000度近い高温に成っても発火しないという特性があるとの事。この特性がもたらすメリットは計り知れなく・・・現在のポリマー樹脂バッテリーと同じ容量の3倍以上の電圧が掛けられるとの事・・・。と言う事は、1セルの容量と重量で3セル分が補える訳だから、ラジコン模型にとっては安全な新電池が、近未来には使えるって事ですよ。ニッカドバッテリーみたいにスポンジで包んで搭載・・・って時代がもう直ぐやって来るって思えば、今はスロープサイトでのリポバッテリーの使用は自制した方が良いと思います。
 
● 昭和のバルサキットには当たり前にキットに付属していた原寸大の三面図なんですが・・・。平成のモデラーさんは、ネットが普及したので画像は見るけど文章は読まない傾向なんだそうで・・・。昭和のモデラーさん達はキット付属の原寸大の図面を、自前の工作台の上にシワを延ばして拡げて、更に組む時の接着剤で図面を汚さない様にと・・・幅の広いサランラップを被せてその上で組立てていました。其れが当たり前の事だったので、誰も面倒臭いとは思わなかったんですけどねえ・・・。

● じゃあ!・・・図面自体を構造物にして機体に組み込めば良いんじゃねえか?・・・。ってのが、本機のコンセプトの一つです。まずは原寸三面図を精密に作図する事から始めます。次に主翼分のみの形紙を作成・・・。元の図面から必要データだけを写し取れば良いので、然程難しくは無いですね。この形紙にスプレー糊で厚紙を貼り込んで、形紙自体を補強します。スチレン材は厚さ5mmです。形紙の四隅をマチ針で留めて、ボールペンを使って抜き面を全てトレースします。

● 形紙は厚みが有るので、今度は裏返してトレース・・・。此れで左右の主翼のトレースが終わりました。単純な事なんですが・・・このトレースした外周の寸法通りに、スチレン板を切り抜けば翼の芯材が完成です。本機の主翼に使用する翼型は完全対称ですので、このベース板のリブ取り付け位置に正確に上下分けしたリブ材を貼り込めば良い訳です。実に構造は簡単!・・・。ただし、切り出すリブ材は倍必要ですけどね。
 
● 補足説明をするならば・・・、このスチレンのベース板の外周は、左右とも同じ寸法にする必要が有ります。二枚のベース板をマチ針数本で固定するか、小さく切り分けた両面テープを使って二枚を貼り合わせるか・・・どちらでもお好きな方法で・・・。このスチレンベースの5mmの木口を、厚みのあるアルミのアングルの一面にサンドペーパーを貼り込んだホルダーで削って直角面を出します。柔らかいスチレンだからと、目の細かいサンドペーパーで削ると・・・摩擦熱でスチレンが溶けて上手く削れません。50番位の粗い目のサンドペーパーの方が綺麗に削れます。
 
● 左右分けのスチレンのベース板は、周囲を削り揃えると全く同じ寸法に成るんです。よって後退角度も左右対称に成りますし、主翼の面積も左右対称です。同じ比重のスチレンシートから切り出したので重さも同じです。此れが工作台上の原寸図の上でリブ組すると、後退角度が左右で若干違ったり・・・前縁と後縁が曲がって接着されて、ヒンジラインが湾曲したりするんですが、このベース板なら其れが皆無・・・。

● スチレンベース板の前縁と後縁に3×5mmのバルサの棒材を貼り込むと・・・言わば、バルサの部材で組んだリブ組状態と同じ条件と成るんです。後はトレースした必要枠を残して、全部繰り抜けばバルサのリブ組みと同じ状態と成るんです。こんだけ抜いたら、角度が狂う!って、何処かのブログの管理人さんは書いてたけど・・・。多分彼は試していませんね。脳内で考えて出来ない!って言ってるだけで・・・。此れだけ抜いても形が崩れないって処が、厚さ5mmのスチレン板の良い所・・・。此れが3mmだったら崩れるんですけどね(笑)・・・。

● 数年前に何処かのブログの管理人さんが、CADを駆使して作図して2mmのスチレン板を主材とした軽量スケールグライダーの製作記事を進めていたんですが、途中で完全に止まりましたね。5mmのスチレンよりも薄い2mmのスチレンなら、もっと軽量なグライダーが出来る!って思ったんでしょうけど・・・。2mmのスチレン材って、板みたいな指向性が無いので胴枠には向きません。ただし・・・スチレン両面に紙を貼り込んだボードならば指向性は出るんですが・・・比重は5mmのスチレン材よりも重く成ります。当工房・・・俄かで5mmのスチレン材を使ってるんじゃないですよ。色々試した結果が5mmのスチレンシートです。

● 昭和の時代から当たり前に使われてる発砲スチロールコアに、バルサシートを貼り込んだ主翼なんですが・・・。本機のスチレン構造は言わば、このスチロールコアの応用版です。スチロールコアをボールフライス盤にセットして、エンドミルで最大限削り落とした姿が、本機の構造体だと思えば解り易いかなあ・・・。
 
● 本機の主翼は胴体に組み込まれるセンターウィングと、左右二分割になるアウターウィングの3ピース翼です。画像に見えるセンターウィングに埋め込まれているのはカンザシです。見た目は10mmバルサですが、内部に直径4mmのカーボンシャフトが内蔵されています。このカーボンシャフト内臓の特殊カンザシの作り方は、別途項目で詳しく説明していますので、其方をご覧ください。画像でも解る様にテーパーのカンザシなので、脱着が確実な上・・・ゴミや埃等でカンザシが抜けなく成るという心配がありません。そして・・・このカンザシを受ける翼に内蔵する木部のパイプも、かなりアバウトな構造ながらも確実にロック出来るので、工作の面倒臭さは有りますが、其れが快感!のモデラーならば、苦も無く作れます。
 
● 主翼は前縁後縁が直線のストレートテーパー翼の筈なのに、リブを並べると前縁後縁が湾曲して見えますが・・・、此れは翼根と翼端のリブのピッチが異なっているからです。リブは完全なる相似形です。さて!・・・この翼型から5mmのベース板の寸法を抜いた翼型を切り抜いていきます。

● 2mmバルサを4枚重ねて糸鋸盤で切り出しますが、何とも薄いフラットボトムの翼型なんですが・・・此れをベース板の両面に貼り込むと、立派な完全対称の翼型に成るんです。ラジコン機を自作する上での必要な知識なんですが、翼型には必ず翼型内部に基準線と成る前縁から後縁までを貫く直線が入っています。翼型の本に記載されている(X座標Y座標)にはプラス表記とマイナス表記が有るのは、この基準線の上下の座標という意味です。基本的な作図の仕方は、中学の三年辺りで習う二元方程式と、其れで得られる数値を代入して作るX座標とY座標の放物線です。此れが基本作図・・・。翼型の本に記載されている数値の羅列を観て・・・チンプンカンプンのモデラーさんは、授業中寝ていた証拠でしょう(笑)・・・。
 
● この薄いフラットボトムの翼型をベース板の上下に貼り込むと・・・最大翼厚9%の完全対称翼が出来上がります。接着にはスチレン用のセメダイン(透明のジェル状接着剤)を使いました。実はですねえ・・・ネット上では、かなり有名な空野彦吉さんなんですが、氏が製作されたミグやホーカーハンターの数々、昭和40年代の作品の多くは、このセメダインで組まれているんですよ。木工ボンドやエポキシ接着剤じゃなくて・・・。バルサオンリーの部材の組立ては殆どがセメダインです。エポキシ使用はエンジンマウント周りのみ・・・。瞬間接着剤なんか昭和53年当時でも、現在の容量でも一本¥3000位してましたからねえ・・・。

● 順序が可笑しいんですけど、リブ組の内部に既に色んな部材が組み込まれていますので、これ等の部品を組み込まないと本来はリブの接着は出来ません。取り敢えず・・・最終的にはこうなる構造って事で先に掲載しました。
 
● 左右分けのアウターウィングのベース板に埋め込む、角型カンザシを受ける木製角パイプです。カンザシが角型のテーパー仕様なので、受けのパイプも内部はテーパーです。此の受けのパイプを正確にベース板に固定するには、カンザシ側のセンターウィングと同じ高さの治具箱を作ります。此れを組み合わせるると、センターとアウターのベース板がツライチと成るので、受けのパイプの正確な固定位置が決まります。言わば・・・此の受けのパイプを、上下に貼り込むリブ材で押さえ込んで強固にベース板に固定すると思って下さいね。その為には、この受けのパイプの正確な位置決めが必要に成るんです。
 
● 画像中央は何れリードハーネスが通るトンネルと成ります。リード線だけが通るのなら、ベース板の厚みの5mmでも良いんですが、ハーネスの先端にはサーボ側のハーネスのオス型コネクタを受けるメス型のキャップ付きコネクタがあるので、其れをスムーズに通す為のトンネルの嵩増しをしなければなりません。便宜上・・・ベース板は抜ける所は抜きますが、ブリッジとして残しているのはベース板の形状を崩さない処置です。

● 嵩増ししたバルサの棒材を覆う様に片面のトンネルの天井を塞ぎます。バルサ面にバルサ材を貼るのですから、今度は木工ボンドでも瞬間接着剤の高粘度でも良いと思います。
 
● ベース板の補強を兼ねたトンネル天板が片面出来ましたので、このブリッジを切り取ってしまいます。更に反対面もバルサシートの天板を貼り込むと、リードハーネスを通すトンネルが出来上がります。幅は15mm・・・高さは11mmなので比較的スムーズにハーネスは通せるでしょう・・・。さて・・・色々と部材が組み込まれました・・・。貼り込むリブ材の位置と交差している部材も有ります。よって貼り込むリブ材は、これ等の部材と干渉しない様に切り欠きを行いながら、所定の位置に貼り込んで行くことになります。面倒臭いでしょう?・・・。でもですなあ・・・この複雑さが主翼を頑丈にするんですよ。使用しているのは殆どがバルサとスチレンなので、とても軽量です。
 
● このスチレン構造体にもデメリットという泣き所が有りまして・・・。幾ら指向性を持った厚さ5mmのスチレン材でも、部品を貼り込んで重くなったスチレン材はスパン方向の直線が保てなく成るんです。よって直線を維持させる為には、各種スパー材を貼り込むんですが、この時にアルミのアングル材を補助的に使ってスパー材を取り付けます。

● 本機の主翼のスパー材は、前縁補助材・後縁材・メインスパー材・サブスパー材・・・全てがバルサの棒材です。バルサの棒材なんかでこんな大きな主翼の強度は保てない!って思ってるのは、平成のスチレン機世代のモデラー諸氏・・・。昭和の飛行機構造を知らないので、こういった言葉が出て来ます。加藤無線(MK)のグロー60クラスのF3A機の主翼・・・全面プランクのバルサシートは1,5mm・・・。そして中身のリブは厚さ2mmのバルサ・・・。その縦通材のメインスパーは5mm角のバルサ棒でした(笑)・・・。其れもバルサシートの表面にグラス補強なんかしませんよ・・・。それでも充分な強度を持った主翼でした。

● もう一つ言わせてもらえば、この60クラスの主翼の面積は、本機よりもスパンも翼弦も大きいですよ。なんですが・・・スパー材はメインの5mm角のバルサ棒が上下に有るのみ・・・。まあリブ間毎に補助スパーの板が全面貼り込まれて、C型のチャンネル状には成るんですけど。
 
● アウターウィングと胴体を繋ぐジョイントを固定するビスの台座を作っています。取り付けに使用するビスは、ネジ山の直径は3mmです。頭は6mmですので内径8mmのビニールパイプ(水道管の材質)を、ビスのガイドパイプとして使います。この手の細いビニールパイプの入手先ですが、ホームセンターよりも住設関連の専門店での購入が確実です。ただ・・・こういった専門業者は、業者相手の御社取引の場合が多いので、一般の小売は断られる可能性も有ります。送料等で割高には成りますが、ネット上で住設関連商品を扱う、小売りの出来るショップを探した方が良いですよ。

● ただし・・・こういうオンラインショップは、住設機器を広く浅く扱う代理店が多いので・・・売れ筋の商品は扱いますが、個人の別転用のシビアな商品には対応しないかもしれません・・・。一番入手方法として確実なのは、飛行場のお仲間さんで住設関係を職業にしている人を探すのが一番良いかも知れません。顔の見えない掲示板で探すよりも、飛行場の顔の見えるお仲間さんの方が情報量は多いですよ。ネット普及以前の昭和の時代は、そうやって部品集めをしていました。掲示板で聞いても、住設関連の店に行け!・・・とか、ネットで探せ!・・・とか、何か書かなきゃ収まらない人の答えってそんなんばっかりですので・・・。
 
● 翼の表面からビスの頭が出っ張っていようが・・・、ガイドパイプを使って頭を沈めようが、本機の飛行性能には何ら影響は出ません。ただ・・・頭が見えるって事は、それだけ長いビスでの固定に成るんですが、焼きの入って無い軟鉄のビスは、長ければ長いほど衝撃が強いと曲がり易く成ります。ねじ切りの台座に充分締め付けられる長さなら、なるべく短い方が曲がり難いので、沈める余裕が在れば沈めてビスは短い方が良いですよ。別の知識なんですが、焼きの入ったビスでも衝撃の強さの度合いでは、曲がる場合も有ります。

● 大御所に資料として頂いたグラス胴体の舶来フォックスなんですが、焼きの入った直径14mmのベアリングシャフト流用のカンザシ・・・。見事に曲がってました。こんなんどうやって曲がるん?・・・って首を傾げたく成るんですが、鉄工所経営の別の大御所曰く・・・瞬間的な衝撃ほど、焼入りの金属でも曲がる可能性は有るんだとか・・・。そう言えばこのシャフトの長さ・・・350mm位はありましたねえ・・・。主翼は発砲コアにアベチ張りの構造だから、バルサのリブ組みよりも遥かに重い・・・。機首からの墜落の場合・・・主翼は前方に大きな曲げ荷重が発生するので、その墜落の衝撃が物凄く大きかったという事ですね。機首先端には重心合わせの鉛の塊・・・グラス製の機首先端が座屈する位だから、相当な衝撃ですよ。
 
● 当工房お馴染みの翼端ブロックの前後分割構造です。「翼端がもげないぞォ~!・・・。」とは、オーナーさんからのお言葉・・・。特にエルロンの付いた主翼はねえ・・・。翼端がもげたら、後縁のヒンジラインまで主翼から引き裂きますからねえ・・・。翼端のみの小破で済ませたいなら、壊れ易く小分けにしといた方が良いですし・・・。此れなら自分で治せるでしょ!・・・。メーカーサイドからしてみれば、主翼が修理不能に成ったら・・・お客は其の崩れ方で廃棄するか修理するか自分で決めるので、廃棄に成れば新しい飛行機を作るでしょうし・・・。さて!・・・どこら辺の頑丈さを有して、高価な搭載メカを守るか・・・ってのが、バルサキットの構造な訳ですよ。全てを頑丈な構造にしちゃったら、衝撃の吸収が出来ない訳だから・・・大事で高価なラジコンメカが多大なる損害を被る事にも成るんですよねえ・・・。自作モデラーさんって、其処まで考えないでしょう?・・・。其処がバルサキットのメーカーさんと自作モデラーさんの大きな違いって処ですね。
          
● 鋭角方向転換(ナイフエッジ・ループ)中の本機です。この機体はセミスケール設定なので、重心が合わせ易く飛ばし易いです。ただし・・・初心者の入門機ってレベルじゃありませんよ。主翼の上反角は0度ですので、この旋回後は当て舵を打たないと水平姿勢には戻りません。

● 実は初心者モデラーさんの多くが勘違いしてるんですけど・・・。飛行機の三軸の中心ってのが重心位置です。初心者さんお薦めの飛行機って、主翼に大きな上反角を付けるんですけど・・・、この上反角の度合いで飛行機自体が水平姿勢への復元の良い自律安定性能が良い機体って事になります。幾ら高翼タイプのセスナ機でも、上反角が0度の機体だったら、当て舵打って水平姿勢に戻さなければなりません。

● あまり知ってる人って少ないと思うんですけど・・・三軸の中心である重心位置は、飛行機の種類によって其れが胴体の中に有るのか・・・もしくは主翼のスパン方向の何処かなのか?・・・によって、自律安定性が良いとか運動性が良いとか決まって来ます。基本的に胴体の推力線よりも、主翼が下に有ると機体を振り回す運動性は大変良くなりますが、飛行機自体の水平への復元力はとても悪くなるので、パイロット自身が当て舵を打たないと機体は水平姿勢に戻りません。一方・・・推力線よりも主翼が上方に有り、尚且つ主翼に上反角が有れば機体は自律安定性が良くなり、当て舵を打たなくても勝手に水平姿勢には戻ります。ただし・・・アクロバット等の運動性は悪く成ります。

● 本機の場合は・・・ロケットエンジンの推力線と、胴体の上下の中心線と主翼の取り付け位置が同一線上に位置しています。機体の運動性は大変良く、実機コメートに狙われた連合軍の戦闘機は逃げる事が出来ません。要するに・・・スピードはレシプロ機よりも早く、機銃で狙いを定めてもトリガーを引いて弾が到達するよりも先に、もうその場に機体がいません。此れがレシプロ式とロケットエンジンの違いなんですが、このコメートの主翼の後退角は後退すればするほど機体の直進性が良くなるので、ある意味コントロールがし易く成ります。ただ・・・ロール軸の運動性は良く成るんですけどね・・・、宙返り等のピッチ軸の反応がイマイチ鈍くなるというデメリットも有るんですよねえ・・・。デルタ翼の近代ジェット戦闘機が、主翼の前方にカナード翼を搭載するのは、ピッチ軸の反応を良くする為の補助翼と考えた方が良いですよ。重心よりも前方に有るのでエレベータとは逆の反応に成ります。カナードの後縁が上がるとダウン操作・・・。水平尾翼は逆の反応ですよね。(Part-2に続く)