三機種同時製作   別に血迷ってるんじゃないですよ・・・。
  Vega series (NO11/NO13/NO14) を作ろう!
          

● この機体が世の中に発表されたのは、今から45年以上前の事・・・。どうでしょうか!二十一世紀初頭、令和時代に突入した現在のモデラーさん達・・・。半世紀も前に、未来を先取りした様なデザインのスロープ専用グライダーを自分で設計して、無動力のまま強風の谷底に放り込んでいた神様みたいな大御所が居たんですなあ・・・。

● 因みに・・・この時代、プロポーショナルな比例制御のメカが出始めた頃・・・。今みたいに送信機に液晶表示でミキシング機能なんて、全く持って存在してなかった時代に・・・関東のスロープをガンガン飛んでいた機体達です。機体のサイズ・・・どの位だと思いますか?。三機種とも全長は1200mm前後・翼長は20クラス~60クラスまでのグローエンジン搭載のスポーツ機並み・・・ただし、全備重量は800グラム~1200グラムと無動力仕様の高翼面荷重機って所ですかねえ・・・。

● この機体群に搭載された当時のサーボは一個50グラム・・・受信機は名刺入れ位のサイズ・・・此れに単三乾電池型のニッカドバッテリーが四本(1,2V×4本=4,8V)・・・基本2チャンネル搭載エルロン・エレベータ(NO-11・NO-13)・・・エレボンNO-14)の装備でした。当時のプロポは何処のメーカーも正転サーボしかセットされていません。逆転サーボなんてオプション扱いなので正転サーボよりも高かった時代です。よって主翼の中に単独でサーボを埋め込むなんてしなかったですし、スケールグライダーのエルロンやフラップの駆動サーボは、胴体に取り付けられ・・・色んな複雑怪奇なリンクホーンで結合し作動していました。

● 実はこの超アナログの機械式リンケージを、如何にモデラー自身に作らせるか・・・というのが、当時のラジコン技術誌に製作記事を掲載していた誌面モデラーの皆さん達・・・その記事から各メーカーさんはヒントを貰って、機械的なアナログリンクをパーツとして製品化・・・。よってラジコン技術を毎月購読していれば、誌上モデラーさんの自作したパーツが今度は製品化されて販売されていた時代でもあるんです。よってネット普及後に蔓延した危ない手抜き飛行機合戦なんか起きなかった時代とも言えるんですなあ・・・。今の時代の様に・・・自分のネット上の神様的存在のモデラーさんが、自分のブログで紹介したアナログリンクをこの神様が考案したと思い込み・・・他のモデラーが自分の考察で作った良く似たアナログ品に対して、神様の知識を盗んだ・・・とか、神様にお断りを入れろ!ってコメントしてみたりと・・・。此の信者さん・・・何にも知らないんだよなあ・・・。お前も神様も生まれる前から当時のメーカーの製品として既に存在してた事実・・・。そういう訳の解らない言葉の応酬・・・。今回のネットを絡めたラジコンブーム・・・特に酷かったなあ・・・。

● ラジコン飛行機は人に当てれば大怪我確定・・・モノに当てれば物損事故確定・・・だから、当時のモデラーさん達の自作飛行機はガッチリ作る反面、其の危険度もご本人さん達自身で熟知していました。よってエリアルールがネット普及後よりも徹底していた時代なんです。

● そういった観点で言えば・・・この項で紹介する山本氏の三機種のリンケージは、今のモデラーにとってはお手本みたいな確実さがあります。この三機種のメカは全て胴体内部に搭載されていますが、何故にそうなったのか・・・。まあ!簡単に言えばメカがデカいので胴体にしか収まりきれなかったから・・・なんでしょうけどね。だったらどうやって主翼のエルロンとスタビライザーをリンクしたのか・・・って成るんですが、此れが・・・当時なら誰も発想すらしなかった方法でリンクしてるんですが・・・。此れがですなあ・・・試作して私自身も驚いたんですが、リンケージによるガタ(遊び)を極端に減らす構造だったんです。まあ・・・其れが必要な位のスピードでかっ飛ぶフォルムなんだから、当たり前って言えば当たり前なんですが・・・。

● ラジコンブームがやって来る度に、便乗組って呼ばれる流行ってるからやってみよか?・・・的なモデラーさん達・・・。ブームが去ると居なく成る(笑)・・・。ただですなあ・・・便乗組だから過去のラジコンブームを知りません・・・。何故に下火に成ったのか・・・。何時の時代も、その時代の便乗組さんが暴走して事故多発・・・。やれやれ・・・またか~・・・。って具合に国が重い腰上げて、規制に乗り出し・・・ブームが終わる・・・。古株さんとブームに乗って規模を大きくしちゃったメーカーさん達が・・・馬鹿を見る・・・。このヴェガ達が、危ない飛行機に改造されなくて良かったですなあ・・・。造りが難しくて(笑)・・・。
  
● 左から(Vega-1=No-11)・(Vega-2=No-13)・(Vega-3=No-14)です。山本氏自身・・・Ⅰ型の飛びが過激すぎるので、もちっと穏やかに飛ぶⅡ型を製作されたとの事・・・。ただし絶対に勘違いしてほしくないんですが、どちらの機体も超過激翼型と言われてる(Eー374=エップラー374)だという事を忘れてはなりません。半対称翼型の中ではかっ飛び系翼型と表される部類なので、初心者受けするフォルムなんですが、初心者さんにはコントロール不能になる恐ろしい機体だって事を肝に銘じなければなりません。

● ネットが普及してお仲間掲示板が出来ると・・・コイツ!かなり背伸びしてんなあ~なる書き込みも見えていたんですが・・・。ヴェガの画像を載せては「今度の飛行会にはブラシレス搭載機でエントリーします!。」???だの・・・。「ヴェガ作ってみましたあ~。」って、デコパネの一枚翼・・・。ヴェガシリーズ全機に言えるんですが、全て高テーパーの主翼形状なので捻じり下げを入れてあります。はたして・・・厚さ5mmのデコパネの主翼、捻じり下げは付けたんじゃろか・・・。捻じる方が難しいデコパネボードなんだが・・・。挙句の果ては・・・リブ型として作り易いフラットボトムのクラークYに変更して、左右振り分けサーボ仕様・・・。そのサーボも幅の広いセロテープで留めてある・・・。

● ネット普及後に蔓延した昭和のラジコン飛行機の名機達を、手抜きバリバリのデコパネ一枚板で再現・・・。でもデコパネと言えども推進用の動力が付いてれば何とか飛行も可能なんですが、無動力グライダーを上から見たヴェガ―1だけ似せて主翼をデコパネ一枚にしたって・・・山本オリジナルの華麗なヴェガ―1の飛行は望めません。デコパネ機から入門しちゃう初心者さんが、必ず勘違いして途中で挫折するんですが・・・。動力機が浮くのは推進力があるからです。翼型ってのは必ず上面が膨らんでます。だから上向きの揚力が発生します。よって飛行機を前進させる限り・・・飛行機本体の主翼には浮かせる力とした揚力が生まれます。実は無動力のグライダーがスロープにおいて、何で浮けるの?って疑問が解らず・・・リポを搭載したモグラを持ち込んで着陸失敗・・・。衝撃で裸搭載のリポが発火!・・・山火事の原因を作ったのもスロープ初デビューの初心者モデラーさんです。

● 無動力のスロープグライダーが、何で長時間飛べるのか・・・。推進力が無くてもエレベータのダウン操作で機首を下に向けてやれば、沈下しながら速度が増す訳だから揚力が生まれます。ただし・・・機体を下から持ち上げてくれる吹上風が無かったり、弱かったりすると機体は上昇する事が出来ません。このスロープグライダーというカテゴリーは、飛行機初心者に最適!って言われてるんですが、何故飛べるんだろう・・・の疑問を持たずに上達しちゃうと、自作飛行機を飛ばした時に・・・またまた闇夜の黒猫探し(途方に暮れる状態・・・)に陥ります。よって、無動力仕様・・・デコパネ一枚の主翼では、どんな飛行姿勢をとっても揚力自体が生まれないんだから、華麗な飛びのヴェガには成れません。
 
● Ⅰ型とⅡ型を比較してみましょう・・・。Ⅰ型の飛びが過激すぎるので、Ⅱ型を作ったと山本氏は記載しています。ところが・・・見た目主要諸元を観る限り・・・機体の全長・翼長・全備重量だけで判断すると、機体重量は両機とも1200グラム台なので普通に考えれば翼幅の長いⅠ型の方が軽く思えてしまうんですが・・・。だったらⅠ型の方が飛ばし易いって思う人は多いかと・・・。まあ!其れが普通なんですなあ・・・。自作を極めてるモデラーじゃないから知らなくても当然です。

● 翼型はどちらも(エップラー374)なので、超過激翼の筈・・・なんですが、何故かⅡ型の方が飛ばし易いのだそう・・・。自作を極めたモデラーならば、容易く理解する事なんですが・・・。主翼の面積ともう一つ・・・翼面荷重を観て下さいね。機体の全備重量を主翼の面積で割った値が翼面荷重です。主翼の一平方メートル辺りで受け持つ機体の重さの数値の事です。別の言い方をするならば、機体の全備重量を様々な主翼面積で割った場合に、其の得られた数値が大きいと高翼面荷重・・・小さいと低翼面荷重となります。よってⅠ型よりもⅡ型の方が主翼の面積が大きいので、数値もⅡ型の方が小さく成ってます。要するに二機とも似た様な全備重量ながら、Ⅱ型の方が翼面荷重が小さいので浮き易いと言えるんですなあ・・・。よってⅠ型では浮かすのに苦労する風速域でも、Ⅱ型なら普通に浮かして飛ばす事が出来ます。カラクリは此処に有るんですなあ・・・。

● 高翼面荷重に属する当工房の機体は、(Wild Boar)や(Ange-SSG)といった所です。低翼面荷重に属する機体って言えば、(Rindy)や(Oberon・Titania)といったソアラー系です。見れば一目瞭然!全備重量と主翼面積・・・大きく違いますよね。よってこのヴェガシリーズのラインナップは、機体の形状は動力機で多用されスロープ機では余りお目に掛かりません。ところがですなあ!・・・風速が10メートルを越えそうな強風域において、どんなに機体自体が重い大型のソアラータイプは、風に翻弄されて思う様なコントロールが出来なくなるんです。其れに比べれば・・・如何にも動力搭載っぽいフォルムなので、構造的には此方の方が頑丈!・・・。よって強風域(風速10メートル以上)のお山コンディションなら、ヴェガタイプの高翼面荷重機の方が飛ばし易くなるんですなあ・・・。ただし!泣き所も有るんですよ~・・・。微風域やソアラー系が優雅に飛べる中風域では、全く持って期待する様な飛行は出来ません・・・。要するに、事!スロープサイトに限定すれば無動力設定の機体を谷底に放り込む場合は、その日のお山の風速状況に合わせた機体を飛ばせ!って事で~す(笑)・・・。絶対にお仲間さんの悪魔の囁きに耳を貸しては駄目ですよ。無風状態で飛べる様な機体じゃ無いんで・・・。

● このヴェガシリーズの製作記事がラジコン技術誌に掲載されていた時代に、カラー画像満載の詳細な製作記事だったら・・・本機シリーズの追従組はかなりの数が複製に挑戦したんじゃなかろうかと思います。当時の私は中学生・・・。このヴェガとの出会いが今の私を形成しています。当時は図面すら読めなかったので、複製なんか夢物語でした・・・。でもあれから45年以上・・・。今の私なら完全複製も可能なんですが、当時の装備品を探す方が難しくなった現在ですので、今の時代に沿った装備で製作記事を綴りたいと思います。追従大歓迎!・・・。

   VEGA-Ⅰ型の製作記事 (令和4年改定版製作記事)
                                        
   VEGA-Ⅱ型の製作記事
                                        (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)

                                        (8) (9) (10) (11) (12)

   VEGA-Ⅲ型の製作記事
                                        (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)

                                        (8) (9) (10) (11) (12)

 ※ 上記の機体に関してなんですが、山本オリジナルとしてのデザインでの販売はしません。個別の製作依頼の受注も行いません。ただし・・・数年前に試作してテスト飛行を繰り返してきた山本オリジナルのヴェガは、その性能を残しつつ色んな形状に変化して当工房オリジナル機種と成りました。今後も変化して行きますが・・・そちらの機体は受注する機会も有ろうかと思います。

 ※ 誌上では発表されていない山本昇氏の(No-12型)の存在・・・気に成りませんか?・・・。多分ですねえ・・・(F-22 ラプター)の前身である量産型耐用年数テスト機である(YF-22 ライトニングⅡ)にはライバル機がいまして・・・。別のメーカーのステルス機で(YF-23)って機種があるんですが、その機体との競争に打ち勝って採用されたのが(YF-22)です。其れが現在の(F-22 ラプター)です。・・・という事は・・・、山本さんのヴェガⅡ型である(No-13型)の前身には(No-12型)が存在していたと思う方が正しい。

 ※ ヴェガⅠ型(No-11型)があまりにも過激過ぎて・・・自分では満足に扱えないのでもっと穏やかな機体を・・・と製作した機体は(No-13型)だけじゃないと思います。結果的に13型が正式にヴェガⅡ型に採用されたとは思うんですが、この12型機の存在がどうしても気に成ってしまいます・・・。たぶん・・・開発途中で競り負けた機体がある筈ですが、其れがどんなデザインだったのかとても気に成る所・・・。上記三機種の製作が終わり・・・充分飛ばし込んだ後、何かしらの閃きが有れば・・・是非作ってみたいと思います。創造の域を出ないんですが・・・まあ其れは、山本氏と当時のテスト飛行に立ち会った数人のお仲間さんしか真相を知り得ない事なんでしょうけど・・・。
  
  
● 上記5センチ角のイラスト三面図と製作記事の資料を使って、三機種とも単純に5倍に拡大すれば原寸大に成るアウトライン確認用三面図を仕上げました。この図面を使って山本オリジナルのヴェガ三機種を複製します。全ての機体は昭和48年にテストが終わった、必ず飛ぶという保証が付いています。後は・・・スケベ心出して私的改造さえしなければ、必ず良く飛ぶガチンコスロープ専用機に成るでしょう・・・。

 ※ 図面作成の為の私的考察(正式図面なんか・・・要らねえぜ!っと。) 此方から

 ※ 何故に三種類の機体を同時に作ろうとしているのか・・・。まあ、そろそろコンテンツのネタが切れたのか?・・・。だから目立つ様なパフォーマンスをやろうとしてるのか・・・。まあ・・・閲覧しているモデラーさん自身で自由にお考え下さいね。当工房としては・・・明確なコンセプトに沿ってやっとるだけなので、別に目立つ無謀な事をおっ始めた訳でもないのです・・・。

 ※ 当工房の生地完成機の量産記事を見た事がありますか?・・・。定尺の材料から一機分だけ作ると、かなりの余った材料が出て来ます。この余った材料からは、同型の二機目は作れないんです。よって最初の設計段階から定尺の範囲の中で、無駄無く部材を採れば・・・捨てないにしても何時使うか解らなく成る在庫分としての端材を作らなくて良く成るんです・・・。よって量産する場合に最初に必要に成るのが、裁断前に使う形紙の存在・・・。なるべく細かい部品の形紙も採って定尺の材料に載せてまずは部品取りのシュミレーション・・・。定尺の材料からダイカットパーツをパンチングするのも・・・レーザー加工するのも・・・全く同じ工程だったりするんですなあ・・・。

 ※ 実は他にも理由が有るんですよ・・・。この山本氏のヴェガシリーズ三機種なんですが、主翼のリブのピッチ(リブ間隔)と水平尾翼のリブ間隔は、全て共通なんです・・・。一機毎の姿かたちは全然違うんですがねえ・・・。スパン(翼長)の最大寸法は、翼端のバルサブロックを除けると、全て等間隔で構成されています。此れが自作模型を作る個人毎の特徴だったりするんですよねえ・・・。よって・・・正確に・・・綿密にいいいい!って目くじら立てて、一機ずつシビアにいいいい!・・・なんて、ストレス溜めなくても良いんじゃないかと思いますよ(笑)・・・。なるべく端材を作らず・・・在庫せず・・・を心掛けると、経年変化で劣化してしまう材料を遺物にしなくてもよく成るんですなあ・・・。よって・・・大きな寸法の部材は、定尺材から無駄無く裁断して部品取りし・・・尾翼などの細かい部品は定尺材で無駄無く合わせ取りしてしまえば良いんですなあ・・・。

● 雑誌の折り込み三面図からアウトライン用の三面図を作図して・・・最後に原寸図にする・・・。この原寸代図面から直接部品なんかは作りません。まずは・・・面倒臭くても形紙作成・・・。この工程を経ると形紙が資料として残せるので、次の試作をする時の大事な資料に成るんです。この資料がネットオークションでは高額査定に成るんですなあ・・・。賞味期限切れの昭和の遺物のバルサキット・・・安く落として後生大事に死ぬまで保管して・・・って、ご本人が死んだら家族にとっては、単なる粗大ゴミ・・・。可燃物の日に捨てられるのが落ち・・・でしょうなあ・・・。でも・・・世の中がどんなに変化しても、その時代の資料ってのは・・・その時代のカスタム職人にとっては、どうしても手に入れたい資料なんですよ。だから競り勝ってでも落とす!・・・。

● 多分・・・当工房の製作記事をダウンロードして保管している同業者は居たりするんですが、お金に成るからって訳じゃ無いんですなあ・・・。自分の知識と技術の修得と更なる自分自身の創造の為に使う・・・。デザインをちょこっと変えて、如何にも自分で設計しました!ってやってるネット物知り博士達とは、全然路線の違う高等技術をカスタム職人は目指してます。まあ・・・他人の技術の転売程、恥・・・。ってのが、カスタム職人たちの心情だろうと思いますよ。